今ある問題、将来起こりうる問題を洗い出す

2016年6月14日

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今ある問題、将来起こりうる問題を洗い出す

1. 義務感で作成するだけでは効果が薄い

会社の経営者の方が、就業規則を作成、変更しようと思うときとはどういう状況かといえば、基本的には以下の2つの場合です。

  1. コンプライアンスのため
  2. 会社内の問題を解決するため

1の場合、会社経営者の自発的な考えによる場合もあれば、監督署の調査でやむなくという場合もあります。また、昔に作ったので法改正に全く対応できてない、という場合もあります。

いずれにせよ、就業規則を法律にあったものにする、というのがその目的です。

一方、2の場合、というのは会社内で何らかのトラブルが起こっている、あるいは会社内のルールが緩んでいて、会社の経営者からするとなんとかしたい、という場合です。

こちらは労務管理上の問題を就業規則によって解決したい、というのが就業規則作成の目的となります。

 

2. 解決したい問題と優先順位

実際に就業規則を作成・変更する段階となれば、どちらか一方だけ解決する、ということはなく、どちらも解決しながら作成することになります。

しかし、それでも、会社としてより解決の優先順位の高い就業規則の作成・変更目的を持っておいた方が効率的です。

なぜなら、就業規則の作成には相応の時間がかかるからです。

相応の時間をかかる中で、解決したい問題を明確化しておくと、その問題により時間をかけることができます。

逆に後回しにしてしまうと、その問題の解決のために思わぬ時間がかかるや、その問題の解決のためにすでに決めた他の部分を直さなければならないこともあります。

よって、会社として、優先順位の高い問題にはより積極的に口を挟み、そうでない問題については人任せ(社労士任せ)にしてしまったほうが、効率的ですし、結果作成される就業規則も、その会社に合ったものになるはずだからです。

 

3. 今ある問題を洗い出す

よって、今現在、会社にどういった問題があるのかがわかれば、自ずと就業規則を作成する意味や目的も決まってくるはずです。

例えば、

  • 長時間労働が常駐化している → 残業を許可制にして労働時間を抑制した方がいいかもしれません。
  • 社有車を運転する社員の運転が危なっかしくて、もしも事故を起こしたときに会社が責任を負担するのはゴメンだ → 交通安全規程を作成しておくと、いくらか責任を回避することができます。
  • パワハラ・セクハラ・マタハラ等の相談が労働者から頻発している → そうしたハラスメントを禁止する規定が必要です。
  • 機密性の高い情報を扱っているのに、会社のPCをわたくしゴトで利用したり、私物のスマホを業務中に利用されテイル可能性がある → 情報漏えい防止のための規定が必要です。

 

といった具合です。

もちろん、洗いだした問題の中には就業規則では解決できない問題もあるとは思いますが、就業規則を作成する上で、今、会社で何が問題として起こっているかを洗い出しておくことは、よりその会社に合った就業規則を作成する上で、必要不可欠なのです。

仮に、就業規則の作成・変更を外部の社労士に任せる場合でも、そうした問題を洗いざらい明らかにしておいたほうが、どのような就業規則を作成してもらいたいかを伝えやすいかと思います。

さらに言うと、問題が起こる前に将来起こりうる問題をある程度予想できると、就業規則の完成度はより高まるのですが、こちらは労務にあまり詳しくない方々には難しいと思うので、専門家である社労士の出番と言えるでしょう。

 

 

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目指したのは就業規則の参考書ではなく「英会話集」。

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社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士(登録番号 第23130006号)。社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

2016年6月14日