複数の事業所がある場合にできる就業規則の本社一括届出

2016年7月20日

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複数の事業所がある場合にできる就業規則の本社一括届出

1. それぞれの事業場から管轄の監督署に提出する必要がある

就業規則を監督署に提出する義務があるのは、「事業場単位で」10人以上の労働者を使用する会社です。

そのため、全国各地に支店や支社、営業所があり、それぞれの事業場で労働者を10人以上使用している場合、本社だけでなく、それぞれの事業場で就業規則を作成し、事業場を管轄する労働基準監督署に提出する必要があります。

この場合、それぞれの事業場で就業規則を作成し、意見書と就業規則(変更)届を、管轄の労働基準監督署に提出する必要があります。

ただし、事業場の中で管轄の労働基準監督署が同じところがある場合、就業規則は1冊で構いません。例えば、港区と南区に1つずつ拠点がある場合、名古屋南労働基準監督署に提出する就業規則は1冊(+控えでもう1冊)でいいわけです。

一方、意見書は事業場の数だけ必要となるのでご注意ください。

 

 

2. 本社から一括で提出する方法

ただ、本社とそれぞれの拠点で就業規則の内容が異なるということは通常、ほとんどありません。

また、本社には総務や人事の機能があっても、拠点にはないこともあります。

そのため、それぞれの事業場からそれぞれの監督署に就業規則を提出する、という方法の代わりに、本社を管轄する労働基準監督署に「一括」で就業規則を提出する方法もあります。

なお、一括での提出は、本社と各拠点の就業規則に相違がない場合のみ可能です。

 

 

2.1. 必要なもの

必要となるものは以下のとおり。下記の書類を作成し、本社管轄の労働基準監督署に提出してください。

  1. 本社の就業規則(正・副の2部)
  2. 本社の意見書(正・副の2部)
  3. 就業規則(変更)届(正・副の2部)
  4. 拠点を管轄する監督署の数の就業規則(提出用を1部ずつ)
  5. 拠点の数の意見書(提出用を1部ずつ)
  6. 届出事業場一覧表(3部)

1、2、3については、通常の就業規則の提出と同じです。

4:管轄労働基準監督署が同じの場合、就業規則はまとめられるのは一括提出の場合も同様なので、労働基準監督署の数だけ就業規則を用意すれば問題ありません。また、控えも不要です。

5:拠点の意見書についても控えは不要なので、拠点の数だけ意見書を作成し提出することになります。

6:一括申請には「届出事業場一覧表」という書類を作成し、上記の5つの書類と一緒に提出する必要があります。3部必要なのは、提出用と控え用と、監督署が作業に使う用があるため。

 

届出事業場一覧表(川嶋事務所)

作成に際して、特に迷う点はないかと思いますが、備考欄には「各事業場の就業規則は本社と同一内容である」との旨を記載してください。

 

2.2. 監督署によって提出する書類が異なる場合がある

ここまで書いておいてなんですが、この一括届け、監督署によって提出する書類が異なる場合があります。

実際に弊所で経験したのは「就業規則(変更)届」を本社以外のものも用意してほしい、というものでした。

上記で述べた添付書類は当然、厚生労働省の資料を基に作成しているので、なんとも釈然としないままでしたが、出さないわけにはいかないので言われるがまま、提出し直しました。

このように、お役所相手の仕事は変なところで統一されてない部分があるので、心配な場合や二度手間が嫌な場合は事前に所轄の監督署に確認することをおすすめします。

 

 

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社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士(登録番号 第23130006号)。社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

2016年7月20日