労働者の欠勤や遅刻、早退、私用外出というのは、体調不良や家族の事情など様々な理由により起こります。
事情があって「欠勤、遅刻、早退、私用外出」をする場合はともかく、会社として困るのはこうした行為を会社の許可なく行う場合です。
こうした労働者側の許可のない「欠勤、遅刻、早退、私用外出」については、労働者側の重大な契約違反となりますが、一方で、就業規則にきちんとしたルールがないと、違反を違反と指摘することが難しくなります。
そのため、この記事では就業規則の「欠勤、遅刻、早退、私用外出」について解説をしていきます。
この記事の目次
1. 「欠勤、遅刻、早退、私用外出」条文の必要性
1.1. 欠勤、遅刻、早退、私用外出は、労働者側の契約違反
労働者には労働契約に基づいた時間、その会社で就業する義務があります。
一方、「欠勤、遅刻、早退、私用外出」を行う場合、契約に基づいた時間に労働者が就業していないことになるため、基本的には労働契約違反となります。
では、「欠勤、遅刻、早退、私用外出」のすべてを労働契約違反と断罪することが必ずしいいことかといえば、そうとは言えないでしょ。労働者側にも様々な事情があるからです。
こうした原則と例外については、場当たり的に判断してしまうと、判断にブレが生じやすくなります。
例えば、欠勤等について、ある人はこうだったのに、この人のときはこう、といった差が生まれやすくなるわけですが、こうした判断のブレは労働者の不満に繋がるものです。
こうしたことを避けるため、就業規則において「欠勤、遅刻、早退、私用外出」のルール決めが必要となるわけです。
2. 「欠勤、遅刻、早退、私用外出」条文作成のポイント
2.1. 「欠勤、遅刻、早退、私用外出」は許可を前提とする
就業規則に定める際、「欠勤、遅刻、早退、私用外出」については、基本的に会社の許可を前提とします。
すでに述べたとおり、「欠勤、遅刻、早退、私用外出」は原則として、労働者側の労働違反だからです。
仮に、届出のみでOKとしてしまうと、「許可の有無に関係なく届出を出しているんだから問題ないだろう」というふうに会社内のルールが置き換わってしまう可能性があります。
そうなると、当然、会社は困ってしまいます。
2.2. 「無断欠勤」は誤解の元
無断欠勤という言葉も誤解の元で、これも「許可の有無に関係なく届出を出しているんだから無断ではない」という論法の根拠になりかねません。
そのため、就業規則にはきちんと「欠勤には許可がいる」旨を定めておく必要があります。
また、無断欠勤ではなく「無許可欠勤」という言葉を推奨する規定例もあります。
2.3. 無許可欠勤とする条件
なお、本記事の最後に挙げている規定例では「正当な理由なく事前の許可を得なかった場合、または当日午前中までに連絡せずに欠勤した場合、無許可欠勤とする」としていますが、「当日午前中までに連絡」というのはあくまで例です。
なので、この部分を「始業から3時間以内に」としたり、そもそも定めないことも可能です。
3. 就業規則「欠勤、遅刻、早退、私用外出」の規定例
第○条(欠勤、遅刻、早退、私用外出)
- 従業員は欠勤および遅刻、早退するとき、または就業時間中に私用で事業場から外出する場合ときは、所定の手続きにより、事前に会社の許可を得なければならない。
- 前項にかかわらず、やむを得ない事由により事前に許可を得ることができない場合には、その事由発生後、可能な限り早く会社に報告し許可を得なければならない。
- 正当な理由なく事前の許可を得なかった場合、または当日午前中までに連絡せずに欠勤した場合は、無許可欠勤とする。事前に届出があった場合も、それが正当と認められないものについては同様とする。
- 傷病による欠勤の場合、会社は、従業員に対し医師の診断書等の提出を求めることがある。
4. 規定の変更例
4.1. 無許可欠勤の要件を変更する場合
第○条(欠勤、遅刻、早退、私用外出)
- 従業員は欠勤および遅刻、早退するとき、または就業時間中に私用で事業場から外出する場合ときは、所定の手続きにより、事前に会社の許可を得なければならない。
- 前項にかかわらず、やむを得ない事由により事前に許可を得ることができない場合には、その事由発生後、可能な限り早く会社に報告し許可を得なければならない。
- 正当な理由なく事前の許可を得なかった場合、または当日の始業時刻から3時間以内に連絡せずに欠勤した場合は、無許可欠勤とする。事前に届出があった場合も、それが正当と認められないものについては同様とする。
- 傷病による欠勤の場合、会社は、従業員に対し医師の診断書等の提出を求めることがある。
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