就業規則を作成する場合、賃金や退職金については就業規則本則とは別に規程を設けることが少なくありません。
これらは別規程扱いになってはいるものの、就業規則の一部であることに変わりはありません。
そのため、こうした別規程を設ける場合、就業規則にその委託規定が必要になります。この記事では、こうした別規程への委託規定の作成ポイントについて見ていきます。
この記事の目次
1. 「別規程」条文の必要性
別規程への委託規定についての必要性は、別規程を設けるかどうかによって変わります。
賃金や退職金に関して、就業規則とは別に賃金規程や退職金規程に規定するという場合は必要となりますが、それらを就業規則本則の中に含めてしまう場合は不要となります。
2. 「別規程」条文作成のポイント
2.1. 別規程を設けるかどうか
一般に別規程として、作成されることの多い賃金や退職金、育児介護休業などの規定ですが、これらは就業規則の本則に定めることもできます。
そのため、別規程を設けずに、本則に定めてしまう場合、就業規則本則に別規程への委託規定は不要となります。
2.2. 別規程を設ける際に注意すべき点
賃金規程や退職金規程など、別規程を設ける場合、参照条文の番号に注意する必要があります。
特に、就業規則だけを変更したり、別規程だけを変更した場合、参照条文の番号がずれてそのまま、ということが起こりえます。
別規程を設けずに、就業規則本則に盛り込めばこうしたことは避けやすくなりますが、一方で、条文数が増えると、就業規則自体がごちゃつきやすくなり、それにより条文番号の変更を忘れることも起こりやすくなります。
ただ、最近ではワープロソフトで就業規則を作成するのが当たり前となり、こうした問題をプログラムの方で解決できるようになってはいるので、ワープロソフトの機能を上手く使えるのであれば、後は好みの問題と言えるかもしれません。
2.3. 別規程とされることの多い規程
就業規則本則とは別の規程として設けられことの多いものには以下のものがあります。
- 賃金規程
- 退職金規程
- 育児介護休業規程
- 出向規程
- 在宅勤務規程
- 社有車規程
- マイカー通勤規程 など
2.4. 雇用形態の異なる労働者の就業規則
パートタイマーや契約社員、嘱託社員などについては、就業規則とは別にパートタイマー就業規則や契約社員就業規則を作成するのが普通です。
ただ、これらは「正社員の就業規則に付属する別規程」というよりは「正社員就業規則とは異なる別の就業規則」という扱いとなります。
また、就業規則の適用範囲の条文にて、パートタイマー等に関しては「本規則を適用せず、別に定める規則によるものとする。」といった定めがあるのが普通です
そのため、こうした雇用形態の異なる社員の就業規則に関しては、基本的に別規程の条文で委託規定を設けることはしません。
3. 就業規則「別規程」の規定例
第○条(賃金)
従業員の賃金に関する事項については、別に定める「賃金規程」による。
第□条(退職金)
従業員の退職金に関する事項については、別に定める「退職金規程」による。
第△条(育児介護休業)
従業員の育児介護休業に関する事項については、別に定める「育児介護休業規程」による。
4. 規定の変更例
4.1. [条文追加]在宅勤務規程を別途設ける場合
第●条(在宅勤務)
従業員の在宅勤務に関する事項については、別に定める「在宅勤務規程」による。
4.2. [条文追加]社用車規程を別途設ける場合
第■条(社用車の使用)
従業員が社用車を利用する場合に関する事項については、別に定める「社用車規程」による。
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