残念ながら、監督署の調査対応をしていると、明らかに度の超えた、それこそ監督官の権限を超えた指導が行われることがあります。
それは、労働者を守るための純粋な気持ちからくることもあれば、大きな権限を持つところによる「思い上がり」からくることもあります。
こうした調査・指導に付き合うことは、特に規模の小さな会社の場合、会社の人的資源を摩耗させることになります。
監督署の調査は行政指導であり、相手方の任意の協力があることが前提ですので、こうした場合には、調査・指導には従えないことをはっきりと述べることも一つの手段です。
行政指導は、違法な指導があった場合にも行政訴訟を起こせない代わりに、任意なので、従わないこともできるわけです。
1. 調査・指導を拒否するのであれば根拠が必要
しかし、単に調査・指導に従わないだけでは、労働基準監督官の心象を悪くしてしまう可能性があります。
行政指導に従わないことを理由に不利益取り扱いしてはならないと、行政手続法には規定されていますが、相手も人の子です。強制的な手段に出ないとも限りません。
そうしたときに、社労士がいれば、きちんと法的根拠を上げつつ理路整然と、監督署の調査の違法性を指摘しつつ、調査・指導を拒否することができます。
ただし、ただの社労士ではダメです、限られた、きちんと監督署対応ができる社労士というのは、全国でも限られているからです。そして、川嶋事務所ならそれができます。
2. 不適切な調査・指導への具体的対応例
1つだけ事例を上げましょう。
それは、未払い残業代についての指導でした。
下記の記事で述べているように、監督署には未払い残業代を支払わせる権限はありません。
相手もそれをわかっているためか、最初は指導票で「未払い残業がある場合は払ってください」程度のものでしたが、未払い残業の存在を知るやいなや、態度を変え、「いくら払うのか」「いつまでに払うのか」といったことを細かく報告するよう要求するようになりました。
これでは、いくら指導といえども実質的に命令しているも同然ではないか、と思い、川嶋事務所の所長の川嶋自らがその旨の上申書を執筆、提出することで、違法な指導はやめさせることができました。
勘違いしてもらいたくないのは、川嶋事務所はいたずらに労働基準監督署などの各役所と揉め事を起こすことを良しとしてはいません。
しかし、公権力の暴走はときに人の一生を台無しにし、罪なき人間の命さえも奪いかねません。そうした観点から、社会保険労務士川嶋事務所は監督署や監督官の言いなりになるのではなく、反省すべき点を反省する一方で、監督官に対して主張すべき点はきちんと主張する調査対応を行っております。
会社が知っておきたい労働基準監督署の臨検調査の真実 |
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1.労働基準監督署の調査への心構え |
2.労働基準監督署調査の流れ |
3.是正勧告と指導の違い |
4.労働基準監督官とは何者なのか |
5.労働基準監督官の権限の限界 |
6.「違法な調査?」と思ったら |
監督署の調査で社労士ができること
- 調査への立ち会い(予告がある場合のみ、だけでなく、場合によっては予告がない場合でも立ち会いできることがあります)
- 労働法違反に対する是正のアドバイス
- 是正報告書の作成及び提出の代行
- (監督署の是正勧告が不当と思われる場合のみ)、監督署への上申書の作成及び提出の代行