給与のデジタルマネー払い、その問題の本質とは(ビジネスガイド2023年02月号に寄稿しました)

2023年1月10日

現金主義と言われる日本ですが、近年では急速にキャッシュレス化が進んでおり、比較的高齢の方でもSuicaやPayPayといったデジタルマネーを使いこなしている人を町中でよく見かけるようになりました。

そうしたキャッシュレス化、デジタルマネー化の流れを受け、今年の4月より、給与のデジタルマネー払いが解禁されます。

 

1. 今年の4月から解禁、でも、実際に始まるのは今年の後半

今年4月から、と今言いましたが、実は、4月分の給与からデジタルマネーで給与をもらえる、払えるわけではありません。

というのも、給与のデジタルマネー払いを行うには、デジタルマネーを扱う業者が「厚生労働大臣の指定」を受ける必要があるのですが、この厚生労働大臣の指定の申請受付開始が始まるのが今年の4月だからです。

この厚生労働大臣の指定には数か月を要すると言われているので、実際にデジタルマネーで給与をもらえる、払えるのはどんなに早くても今年の後半からとなるでしょう。

 

2. デジタルマネー払いができるのは「資金移動業」のみ

また、給与のデジタルマネー払いとはあるものの、全てのデジタルマネーで給与支払いが可能となるわけでもありません。

給与のデジタルマネー払いが可能なデジタルマネーは「資金移動業」と呼ばれるもののうち、「第二種」に該当し、かつ、上で述べた「厚生労働大臣の指定」を受けた業者が扱うデジタルマネーに限られるからです。

資金移動業のデジタルマネーは、一度デジタルマネーの口座に入金したお金を出金することが可能という特徴があり、一般によく懸念点としてあげられる「一度デジタルマネーで給与をもらったら現金に戻せない」といったことのないデジタルマネーとなっています。

資金移動業のデジタルマネーの代表例はPayPay(PayPayマネー)やLINE Pay(LINE Money)といったスマホ決済です。

 

資金移動業やデジタルマネーの種類については過去記事にまとめてあるのでそちらをどうぞ。

 

3. あのデジタルマネーでは給与のデジタルマネー払いができない可能性

ただ、給与のデジタルマネー払い解禁後に、現在よく使われているPayPayやLINE Pay、あるいは楽天やau、メルカリなどのデジタルマネーで給与をもらう、払うことができるかと言えば、今のところわかりません。

すでに述べたとおり、そういった業者が「厚生労働大臣の指定」を受けるかどうかは今のところわからないからです(といっても、PayPayや楽天、auなどは参入を検討しているといった報道がすでに出ていますが)。

今現在の給与のデジタルマネー払いの最大の問題点はここです。

 

4. 真の給与のデジタルマネー払いの問題点は未確定なことが多すぎること

はっきり言って、給与のデジタルマネー払いが開始されること自体は、給与支払いの選択肢が1つ増えるに過ぎません。

しかし、どの業者のデジタルマネーが給与のデジタルマネー払いの対象になるかがわからない。

なので、各業者が給与のデジタルマネー払いに当たってどのようなサービスを提供してくれるのかもわからない。

加えて、給与のデジタルマネー払いがいつから始まるのかすらわからない、では、給与のデジタルマネー払いを行うかどうか、検討することすら難しい、というのが給与のデジタルマネー払い解禁前の今現在の偽りない状況かと思われます。

 

ブログではやや早足になりましたが、本日発売のビジネスガイド2023年02月号では、本ブログの筆者川嶋が「デジタルマネーによる給与支払解禁と企業実務 実務対応編」という記事を寄稿させていただいています。

また、今月の20日頃には給与のデジタルマネー払いをテーマとした動画の配信も日本法令さんの方から予定されていますので、より詳しく知りたい、という方はそちらをご参照いただければと思います。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士(登録番号 第23130006号)。社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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