1. A12 労働者から申し出があった際に、医師の面談が受けられる体制づくりが必要です
1.1. 長時間労働者への面接指導とは
長時間労働者への面接指導とは、以下の条件に当てはまる労働者から申し出があった場合に、会社がその労働者に対して行わなければならないものです。
- 1ヵ月あたり、時間外・休日労働を時間数が80時間を超えていて、かつ
- 疲労の蓄積が認められる
面接指導を行うのは、会社の経営者や上司ではなく「医師」である必要があります。
なので、上記の条件を満たす労働者から「医師の面接指導を受けたい」との申しであった際に、対応できるよう、面接指導を行ってもらう医師や病院を決めておく必要があります。
ただし、この面接指導は、労働者からの申し出を条件としているため、上記の条件に当てはまる労働者がいる場合でも、会社には面接指導を行う義務はありません。加えて、上記の条件を満たさない労働者への面接指導は努力義務となっています。
1.2. 働き方改革により面接指導が強化
実は、長時間労働者の面接指導に関しては、働き方改革に伴う法改正により規制が強化されています。
上記の「1ヵ月あたり、時間外・休日労働を時間数が80時間」という時間数も法改正前は100時間でした。
加えて、働き方改革に伴う法改正では「研究開発業務従事者」「高度プロフェッショナル制適用者」について通常の労働者とは異なる基準を設けています。
研究開発業務従事者:
1ヵ月あたり時間外・休日労働を時間数が100時間を超える場合、面接が義務化(事業者には実施義務、労働者には受ける義務がある)
※ 80時間を超え100時間以内の場合は、通常の労働者と同様、疲労の蓄積が認められる場合で労働者の申告があった場合、事業者は実施しなければならない
高度プロフェッショナル制適用者:
健康管理時間が1週間当たり40時間を超えた場合のその超えた時間の合計が1か月100時間を超えた場合、面接が義務化(事業者には実施義務、労働者には受ける義務がある)
※ 1週間当たり40時間を超えた健康管理時間数=1か月の創建高管理時間数ー(計算期間(1か月間)の総歴日数/7)×40
1.3. 面接指導後の措置
会社は、面接指導が行われた際はその結果について、どのような措置を講ずればよいか、医師の意見を聴く必要があります。また、面接指導の結果は5年間記録しておく必要があります。
事業者は、面接指導の結果に基づき、面接指導を受けた労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聴く必要があります。
また、医師の意見を勘案し、その必要があると認められる場合、労働者の健康を確保するための措置を講ずる必要があります。
1.4. 産業医の選任義務のない事業場
面接指導は、産業医の選任義務のない50人未満の事業場では、地域産業保健センターで無料で受けることができます。