1. A5 安全管理者の選任は屋外・工業的業種の一部にのみ選任が義務づけられているものです。業種がそれらに当てはまらない場合、安全管理者の選任は不要です。
1.1. 安全管理者とは
安全管理者とは労働災害の防止等のため職場の安全を管理する者となります。
役割は安全衛生推進者と似ていますが、安全衛生推進者の場合は従業員の数が10人以上50人未満の事業場で選任するのに対し、安全管理者は常時50人以上の事業場で選任が必要となります。
1.2. 安全管理者を選任する必要のある業種
安全管理者は、事業場の規模が50人以上の場合で、以下の屋外・工業的業種に限り選任する必要があります。
安全管理者の選任が必要な業種
屋外的業種:林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業 工業的業種:製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業 |
1.3. 安全管理者の資格
安全管理者として専任できるのは以下のいずれかの条件を満たすものだけです。
- 大学または専門学校における理系の正規過程を修め、2年以上の産業安全の実務経験があるもので、厚生労働大臣の定める研修を終了したもの
- 高校または中学における理系の正規過程を修め、4年以上の産業安全の実務経験があるもので、厚生労働大臣の定める研修を終了したもの
- 労働安全コンサルタント
- その他厚生労働大臣が定めるもの
また、安全管理者は、衛生管理者同様に、その事業場に専属(その会社のみに所属している)である必要があります。
ただし、安全管理者を複数選任している場合で、その中に労働安全コンサルタントがいる場合、労働安全コンサルタントのうちの1人についてはその事業場に専属の者でなくても構いません。
1.4. 専任の安全管理者が必要な場合
専任とは「専ら、その職務のみに、勤務時間を費やすこと」をいいます(一方、専属は「その会社のみに所属しているということ」をいう)。
安全管理者に関しては、以下の条件に当てはまる場合、専任の安全管理者を選任する必要があります。
業種 | 労働者数 |
建設業、有機化学工業製品製造業 | 常時300人以上 |
無機化学工業製品製造業、化学肥料製造業、道路貨物運送業、港湾運送業 | 常時500人以上 |
紙・バルブ製造業、鉄鋼業、造船業 | 常時1000人以上 |
林業、工業、運送業(上に挙げられているものを除く)、清掃業、製造業(物の加工業を含む、上に挙げられている者を除く)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業のうち、過去③年間の労働者災害による休業1日の死者合計数が100人を超える事業場 | 常時2000人以上 |
1.5. 安全管理者の職務
法律上、特にこれをしないといけない、といった義務のなかった安全衛生推進者と違い、安全管理者には業務としてこれをしないといけない、と法律で決められているものがあります。
- 総括安全衛生管理者が統括すべき業務のうち安全に関する技術的事項の管理
- 1.の職務遂行のため、作業場等を巡視し、設備、作業方法等について必要があるときは、危険防止のための必要な措置をとる。巡視は必要に応じて常時と考えてよい。事業者は、安全管理者に対し、安全に関する措置をなしうる権限を与え、職務遂行状況を適宜監督する。
1.について、具体的には以下の通りとなります。
- 建設物、設備、作業場所又は作業方法に危険がある場合における応急措置又は適当の防止の措置(設備新設時、新生産方式採用時における安全面からの検討を含む。)
- 安全装置、保護具その他危険防止のための設備・器具の定期的点検及び整備
- 作業の安全についての教育及び訓練
- 発生した災害原因の調査及び対策の検討
- 消防及び非難の訓練
- 作業主任者その他安全に関する補助者の監督
- 安全に関する資料の作成、収集及び重要事項の記録
- その事業の労働者が行う作業が他の事業の労働者が行う作業と同一の場所において行われる場合における安全に関し、必要な措置
- 安全衛生に関する方針の表明に関すること。
- 労働安全衛生法第28条の2第1項又は第57条の3第1項及び第2項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること。
- 安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること。
1.6. 安全管理者選任時は監督署に報告書を提出する必要あり
安全管理者は専任すべき事由が発生した日から14日以内に選任しなければなりません。
また、安全管理者を選任した後は、遅滞なく、事業場管轄の労働基準監督署に報告書を提出する必要があります。
その他、安全管理者が旅行や疾病等で職務を行うことができない場合は代理者を選任しなければなりません。