1. A4 労働契約違反時に損害賠償の請求は可能です。ただし、あらかじめその金額を定めておくのは違法です
1.1. 労働契約違反時の損害賠償の「額」を入れるのはNG
労働基準法第16条に「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」とあります。
例えば「契約期間よりも前に会社を辞めた場合、違約金として100万円払え」みたいな労働契約は労働基準法違反となるわけです。
これは「300万円~500万円」のように一定の範囲で定める場合も同様です。
また、労動者本人のみならず、親権者や身元保証人とのあいだでそうした契約を結ぶことも禁止しています。
1.2. 労働契約違反があった際に損害賠償をを請求できないわけではない
ただし、これは労動者側に労働契約違反があった場合に、損害賠償を請求できないという意味ではありません。
あくまで、あらかじめその金額を定めておくのを禁止しているだけであり、会社が労働者の行為によって何らかの被害を被った場合に、その被害に対する賠償を請求することまでは労働基準法で禁止はしていません。
1.3. 昔のテレビ番組の話
最後に余談ですが、むかし「さまぁ〜ずと優香の怪しい××貸しちゃうのかよ!!」という深夜番組で、風俗店の店主が受付だったか女の子付きの運転手だったかの面接をしていたのですが、その面接に来た男性がいかにも軽そうでした。で、強面な感じの店主(といっても、モザイクがかかってましたが)はそれが相当に気に入らなかったようで、「店の女の子に手を出すんじゃねえぞ」みたいなことも相手に言っていたのですが、男性の方はヘラヘラしながら「向こうから来たらしょうがないじゃない」みたいな感じでした。
しかし、お店の商品である女の子に手を出されてはたまらない店主は、それに頭にきて「店の女に手を出したら500万の罰金だからな!」と脅すように言い、男性の方もその額に流石にビビってしまい、さっきまでのヘラヘラ加減が消えてテンション下がりまくり、となっていました。
このような場合、労働契約違反に対して500万円という損害賠償「額」を定めているので立派な労働基準法違反となります。
一方で、「店の女の子に手を出したら損害賠償を請求することがある」と、具体的な金額を定めない場合は法律に違反することにはなりません。