1. A4 適用する労働者を明確にすれば可能です
1.1. 変形労働時間制の最小適用範囲の定めはない
1か月単位及び1年単位の変形労働時間制、フレックスタイム制のいずれも、適用の最小範囲に関する定めはありません(適用範囲の最大についても記載はありませんが、労働基準法が基本的に事業場単位での適用を想定しているため、最大は事業場単位となります)。
よって、異なる部署や労働者ごとに異なる変形労働時間制を利用することは不可能ではありません。
1.2. 対象労働者の範囲の明確化が必要
ただし、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制、フレックスタイム制のいずれも、導入するにあたっては、労使協定(1か月単位の変形労働時間制に関しては就業規則でも可)にて対象労働者の範囲を明確にする必要があります。
そのため、労使協定等にて対象労働者の範囲を明確化すれば、同じ事業場の異なる部署、あるいは労働者ごとに異なる変形労働時間制を適用することは可能です。
例えば、Aという部署では1年単位の変形労働時間制を利用し、Bという部署では1ヶ月単位の変形労働時間を利用することもできますし、また、同じ1年単位の変形労働時間制を利用するけれども、部署ごとにカレンダーを変更する、ということもできます。
1.3. 同じ事業場でも適用する変形労働時間制の数だけ届出我必要
ただし、異なる部署や労働者ごとに異なる変形労働時間制を適用する場合、同じ事業場であっても、適用する変形労働時間制ごとに労使協定を結び、労働基準監督署に提出する必要がある点に注意がてぃつようです。
その際、同じ会社の別部署なので、住所や事業所名が同じになる場合があると思いますが、事業所名のところにカッコ書きでA部署、B部署と書いておけば問題ありません。
同様に、部署ごとではなく、労働者ごとに個別に変形労働時間制を利用することもできなくはありませんが、その場合、労働者の数が増えるほど手続きが煩雑になるので、それを上回るメリットがない限り、導入には慎重になった方が良いでしょう。
変形労働時間制はワーク・ライフ・バランスの向上や残業代の削減に繋がる制度ではありますが、導入することで他の労動者の負担が増えてしまっては意味がないからです。
個別の労働時間と会社全体の負担を比較して、よりバランスのよい労働時間制度を導入すべきでしょう。