1. A3 労働契約の内容の変更には使用者と労動者のあいだの合意が必要です
1.1. 労働契約の変更は労使の合意によって可能
労働契約法第8条には「労働者および使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」とあります。
そのため、労動者との合意があれば労働契約の変更はいつでも可能です。
1.2. 時間経過とともに労働契約が変化することも
また、労働契約は知らず知らずのうちに変わっていくこともあります。
知らず知らずのうち、というと、若干語弊がありますが、要はこういうことです。
ある会社に事務職として入り、労働契約上も事務職に職種を絞ってあったが、会社から人手不足で営業も少しやってほしい、となった場合。
労働者がこれに対して了承した場合はもちろんのこと、特に何も言わずにそれに従った場合も暗黙の合意があったと考えることができます。
結果、その労動者の職種はその合意のあった日、もしくは合意時に定めた日から事務兼営業となるわけです。
1.3. 労働契約変更時に関しては、書面の交付等による明示は義務づけられていない
このように、労使間が労働契約の変更を特に意識していない場合でも、合意があれば労働契約は変更される可能性があります。
これに拍車をかけているのが、労働契約変更時の書面による明示の不要です。
実は、労働契約の締結のサイト違い、労働契約の変更時は書面の交付による明示は義務づけられていません。
そのため、例えば、限定正社員の場合、労働条件の変更に関する合意があると、限定していたはずの職種がいつの間に広がっていた、といったことが起こりえます。