1. A3 休憩時間、通勤時間、有給の時間、いずれも労働時間とはなりません
1.1. 労働時間とは「使用者の指揮命令下」にある時間
労働時間とは「使用者の指揮命令下」にある時間を言います。
簡単に言うと、会社から仕事をしろといわれて仕事をしている時間が労働時間なのです。
なので、逆にいうと、会社から仕事をしろと命令されてもいないのに、労働者が勝手に仕事をしたとしてもその時間は労働時間ではないわけです。
1.2. 休憩時間は労働時間ではない・・・、が
休憩時間、通勤時間、有給で休んでいる時間はいずれも、使用者の指揮命令下にはありません。つまり、労働時間とはいえないわけです。
ただし、休憩時間でも電話番などをしないといけない場合は、実質的に使用者の指揮命令下にあると考えられ、労働時間とみなされることがあります。
1.3. 通勤時間が労働時間になることはまずない
一方、通勤時間については、基本的には労働時間には数えません。
なぜなら、通勤時間は確かに仕事のための時間といえますが、一方で、通勤時間中は基本的に、通勤すること以外で会社から拘束されることはないからです。
実際、判例等を見る限り、通勤時間を労働時間と判断した例はほとんどなく、今後もそうした判断が下されることはかなり稀と考えて良いでしょう。
通勤中に実際に仕事をしている場合は別でしょうが、例えば、通勤の途中で上司や同僚と会って、仕事の話をしながら通勤したくらいでは、通勤時間が労働時間になることはないと考えられます。
ちなみに、会社から自宅、自宅から会社の通勤だけでなく、現場からの直行・直帰に関しても、基本的な考え方は同じです。
1.4. 仕事中や出張先への移動時間
通勤時間と少し区別しないといけないのが仕事中や出張中の移動時間です。
まず、仕事中の移動時間、つまり、所定労働時間中の移動時間は基本的には労働時間となります。
一方、出張先の移動時間に関しては、出張に関する準備と考えられ、通勤時間と同様、原則労働時間とはなりません。
ただし、出張先に仕事のための物品等を運ぶような、出張の移動自体が会社の四季命令下にあると考えられる場合は労働時間となります。
1.5. 有給は給与は出るけど労働時間はゼロ
有給については、賃金が発生するので勘違いされることが多いですが、有給で休んでいる時間は指揮命令下にもなく、業務等を行っていないため、労働時間には含みません。
労働時間に対して賃金を払う、という労働基準法の原則からすると少し特殊ですが、労働時間ではないけど、給与が発生する、というのが年次有給休暇なのです。
悠久の時間を労働時間と勘違いしてしまう要因として、給与計算の関係で有給日の労働時間を入れてるから、というのがあるかもしれませんが、仮にそうした扱いをしていたとしても、実際に労働していない以上、実際の労働時間が0であることは変わりありません。