1. A2 請負や委託契約の場合は適用されませんが、派遣の場合は適用されます
1.1. 雇用契約を結ばない請負や委託に最低賃金は適用されない
最低賃金は、労働契約を結んでいる、使用者から労働者に支払われる賃金に対して適用されます。
請負や委託の場合、結んでいるのは請負契約や委託契約であり、労働契約ではありません。委託した業務や請け負ってもらった分の成果に対して金銭を支払っているだけで、それは賃金ではありません。そのため最低賃金の適用はありません。
ただし、いくら請負や委託だと言っても、業務の実態が労働契約とみなされると、後々、逮捕・送検や未払賃金が請求されるリスクが有ります。
1.2. 派遣労働者は派遣「労働者」なので最低賃金が適用される
一方、派遣労働者の場合ですが、派遣元ととなる人材派遣会社と派遣労働者のあいだには「労働契約」が存在します。
派遣元と派遣労働者が労働契約を結び、その労働契約に基づいて派遣先に派遣される、というのが日本の「人材派遣」の仕組みとなっています。
そのため、派遣元が派遣労働者に支払う賃金には最低賃金が適用されます。
一方で、派遣先が、派遣元に支払う派遣料は賃金ではないので、法律上は最低賃金未満でも構いません。
ただし、逆ざや(派遣料よりも賃金のほうが高くなって利益が出なくなる)になってしまうので、そんなことをする会社はないと思いますが。