1. A10 障害者などの場合「最低賃金の減額の特例」を受けることができますが、子供や高齢者は減額特例の対象とはなりません
1.1. 最低賃金の減額の特例を受けられるもの
最低賃金法では、都道府県の労働局長の許可を受けたときに限り、以下の者たちを、最低賃金を下回る額で使用することを認めています。
- 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
- 試の使用期間中の者用
- 基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者
- 軽易な業務に従事する者
- 断続的労働に従事する者
1.2. 減額率の上限は対象労働者によって異なる
ただし、許可を受けたからといって、使用者の裁量で最低賃金以下の賃金を決められるわけではなく、厚生労働省の定める減額率の範囲内で決定する必要があります。
減額率の上限は特例を受ける理由によって、以下のように異なります。
精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者 | 減額対象労働者と比較対象労働者の労働能率を数量的に把握して比較し、減額できる率の上限となる数値を算出
例:比較対象労働者の労働能率を100 分の100 とした場合、減額対象労働者の労働能率が100 分の70 であるときは、減額できる率の上限は30%(100-70=30) |
試の使用期間中の者 | 20% |
基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者 | 減額対象労働者の所定労働時間のうち「職業能力開発促進法第二十四条第一項の認定を受けて行われる職業訓練の時間の一日当たりの平均時間数」÷「一日当たりの所定労働時間数」で除して得た率が上限となる |
軽易な業務に従事する者 | 減額対象労働者と比較対象労働者の労働能率を数量的に把握して比較し、減額できる率の上限となる数値を算出
例:比較対象労働者の負担の程度を100 分の100 とした場合、減額対象労働者の負担の程度が100 分の70 であるときは、減額できる率の上限は30%(100-70=30) |
断続的労働に従事する者 | 所定労働時間数(A)= 実作業時間数(B)+ 手待ち時間数(C)
(C)に100分の40をかけ、A で割った率が減額率の上限 |
質問にある子供や高齢者に関しては、最低賃金の減額の特例に年齢を理由とした事由が存在しないため、子供や高齢者であっても最低賃金未満で雇用することはできません。