1. A1 衛生推進者とは社員の病気の予防のため、衛生環境の改善を推進する人で、10人以上の事業所で選任義務があります
1.1. 衛生推進者とは
労働者の数が10人以上50人未満の非工業的業種の会社では「衛生推進者」を選任する義務があります(屋外・工業的業種の場合は安全衛生推進者の選任が必要)。
衛生推進者とは、労働者の衛生水準の向上や健康確保を目的に選任します。
衛生推進者は法律上の義務であるため、仮に選任していない場合、監督署の調査が入った際に、是正勧告が出されます(ちなみに、選任してない状態は違法ではあるものの、罰則等はありません)。
1.2. 衛生推進者の業務
衛生推進者は、衛生管理者や安全管理者のように作業場等の定期巡視の義務など、これをしないといけない、といった義務は特に規定はされていません。
1.3. 衛生推進者になれる人の条件
また、衛生推進者は誰でもなれるものではなく、以下のいずれかの要件を満たす者しかなれないので注意が必要です。
- 労働局に登録している機関や団体が行う講習を修了したもの
- 大学または専門学校卒で、1年以上安全衛生の実務経験があるもの
- 高卒または中卒で、3年以上安全衛生の実務経験があるもの
- 5年以上安全衛生の実務経験があるもの
- 労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント等の資格を有する者
衛生推進者は原則、専属(その会社のみに所属しているもの)のものを選任する必要があります
ただし、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント等の資格を持つ者が衛生推進者となる場合は、専属でなくても構いません。
1.4. 講習は混んでることが多いので余裕を見て
中小企業の場合、「安全衛生の実務経験がある」という人が社内にいることの方が少数かと思われるので、現実的には1の労働局お抱えの機関で衛生推進者となるための講習を受ける必要があるでしょう。
衛生推進者となるための講習が受けられる機関や団体については、インターネット等で確認できます。
ただし、時期によっては講習を行っていない場合があるので、あらかじめ計画を立てておく必要があります。
法律上は、衛生推進者を選任する理由が発生した日から14日以内に選任しなければならないとされているため、従業員の人数が10人を超えそうになった段階で選任の予定を立てておく必要があるでしょう。
また、衛生推進者を選任した場合、労働基準監督署などへの報告は不要ですが、きちんとほかの社員にそのことを周知する必要があります。