労務管理

会社が労働者の弱みを握ったってしょうがないのできちんと懲戒しましょうという話

2019年11月14日

昨日の記事ですが、労務管理においてとても反面教師になる事例があったので本ブログで取り上げたいと思います。

「労組脱退なら不祥事握る」 上司が強要?JR東子会社

簡単に言うと、不祥事を起こした労働者への対応として、その上司は「不祥事を見逃すから労組を脱退しろ」と要求したわけです。

言い換えるなら、「労働者の弱みにつけ込んで、会社側の要求を通そうとした」わけですが、こんなバカなこと、普通はしない方が良いです。

 

1. 相手に付け入る隙を与えるだけ

なぜなら、「労働者の弱みにつけ込んで、会社側の要求を通そう」とすると、その「要求」自体が今度は会社の弱みとなるからです。

実際、今回の事件では、弱みにつけ込んで労組脱退を強要した結果、逆に労働者側から「不当労働行為である」と反撃を受けています。

これは仮に、要求が労組脱退以外の場合も同様です。

というか、いかに例としていくつか挙げてみましたが、会社が労働者の弱みを握ったとしても、会社が労働者にできる要求なんてたかが知れてると思うんですよ。

「懲戒されたくなかったらサービス残業しろ」←不払い賃金の請求をされます

「懲戒されたくなかったら有給使うな」←時季指定権の侵害だし、年5日の取得義務はどうするの?

「懲戒されたくなかったら今晩付き合え」←セクハラかパワハラになる可能性大

といった感じで、労働者の弱みにつけ込んで何かしようとしたって、罰したい相手に逆に訴えられるという、超絶くだらない結果にしかならないわけです。

 

結論を言うと、不正や違反を犯した労働者に対して会社がすべきことは、その弱みを握ることではなく、規定に沿って懲戒処分をすることです。

逆に、上記のような要求をしたけど通らなかった、だから懲戒する、なんて順番を踏んでしまうと、当該労働者が刺し違え覚悟で何してくるかわかったもんじゃないですよ。

今日のあとがき

昨日の続きで派遣の解説を書こうと思ったのですが、ちょうどブログのネタになりそうなニュースがあったので、鉄は熱いうちに打ったほうがいいなと思い、今回はこちらを記事として出しました。

一応、今回の記事では労働者の「プライベートな弱みを握る」ということまでは想定せずに書いてます。

ていうか、そんなことする会社って、会社っていうより反社ですからね。

派遣の解説の続きは来週にでもまた更新したいと思います。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士(登録番号 第23130006号)。社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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