昨日行われた「公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議」および「公務部門における障害者雇用に関する関係省庁連絡会議」にて、現在問題となっている行政機関の障害者雇用数の水増しの実態が明らかとなる資料が公開されました。
国の行政機関における平成 29 年6月1日現在の障害者の任免状況の再点検結果について(リンク先PDF 出典:厚生労働省)
今回の水増しは国の機関のみならず、地方自治体でも行われていたことがすでに明らかになっていますが、上記の資料はあくまで国の機関の水増しの実態をまとめたものです。
こちらの資料によると、国の機関全体の実際の障害者雇用数は 6,867.5 人から 3,460.0 人減少して 「3,407.5 人」(0.5人とあるのは短時間の障害者がいるからだと思われます)。
1. 水増し人数ワースト3
個別の機関の水増し見ていくと、水増しの人数が多かったワースト3はこちら(括弧内は水増し人数)。
- 国税庁(1022.5人)
- 国土交通省(603.5人)
- 法務省(539.5人)
上記3つの機関については元々の職員数が多いため、より多くの障害者を雇用しなければならなかったわけですが、それを水増しで誤魔化した結果、他よりも人数が多くなっています。
2. 水増し率ワースト3
次に、水増し率のワースト3についても見たいと思います。こちらは、水増し発覚前の障害者の雇用数に占める、水増し雇用者の数から計算しています。
- 観光庁(100%)
- 消費者庁(95%)
- 内閣官房(86%)
観光庁は2人中の2人、消費者庁は10人中の9.5人、内閣官房は25.5人中の22人が水増しされた人数でした。
ちなみに水増し人数のワースト3の水増し率は国税庁72%、国土交通省67%、法務省67%となっています。
3. 水増しをしていなかった機関はわずかに6
水増しをしていなかった国の機関は、33の機関のうち以下の6つのみ。
- 内閣法制局
- 警察庁
- 金融庁
- (個人情報保護委員会)
- 原子力規制委員会
- 海上保安庁
個人情報保護委員会については、そもそも雇用義務があるにも関わらずそもそも障害者の雇用をしていなったため、()でくくってます。
また、海上保安庁に関してはなぜか、再点検の結果、障害者の数が増える(3人→4人)という、水増しならぬ過少申告していました。悪いことではないですが、確認の体制がどうなっていたかは気になるところ。
以上です。
ちなみに、本来取り締まる側の厚生労働省については「3.5人」の水増しがありました。ただし、水増し分を引いても、法定雇用率自体は達成しているので、こちらも確認の体制に不備があったとみられます。別に厚生労働省の肩を持つわけではありませんが、「1438.5人」と他の機関と比べて圧倒的な数の障害者を雇用し、法定雇用率も達成しているにもかかわらずこういう結果になってしまうのは残念ですね。
関連記事:今年(平成30年)の4月より変更される障害者の法定雇用率引き上げと、制度自体の概要を解説
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