政府は骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針2018)の原案の中で、新しい外国人材の受入れ制度の創設するとしています。
制度の詳しい内容はまだまだこれから、といった感じですが、新しい外国人材の受入れ制度がどのようなものになるかの方針のようなものは示されています。
1. 技能実習制度の建前をかなぐり捨てた新制度
外国人材の受入れというと「外国人技能実習制度」を思い浮かべる人も多いでしょう。
この制度は発展途上国の労働者を日本の企業で受入れて、技術を身につけさせて本国に送り返すというのが制度の趣旨ですが、実質的には中小企業等が人手不足を補うため単純労働力の確保のために、外国人を受け入れている側面があることは否定できない事実でした。
つまり、本音と建前のある制度だったといえます。
一方、今回、骨太方針の原案で示唆された新たな外国人材の受入れ制度は「人手不足の深刻化」が日本の経済や社会基盤を阻害する可能性が出てきているため、外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築するとし、そのために新たな在留資格を創設するとしています。(ただし、その一方で、これは「移民政策とは異なる」ともしています。)
つまり、技能実習制度の建前をかなぐり捨て、「人手不足の解消」という本音と向き合う制度といえます。
2. 新たな在留資格の創設とその概要
この新たな在留資格では当該業種の存続・発展のために外国人材の受入れ必要と認められる業種において行うとし、業種を絞ることが示唆されています。
また、新たな在留資格の取得の条件として「日本語能力試験N4相当(ある程度日常会話ができる)を原則」としつつ、3年の技能実習を修了した者については試験を免除し、必要な水準は満たしているとみなすとしています。
つまり、技能実習制度からこの「新たな在留資格制度」への移行が可能というわけです
この制度による外国人材の受入れの上限は通算で5年としています。
こちらは技能実習制度の在留期間とは別枠となるため、技能実習制度の在留期間最大5年と合わせると最長で10年、日本に滞在することができます。
ただし、本制度は移民制度ではないため、本在留資格による家族帯同は認めないとする一方、本在留資格で滞在中に一定の合格試験に合格するなど、高い専門性を有すると認められた者には「現行の専門的・技術的分野における在留資格を認め、在留期間の上限を付さず、家族帯同等を認める取扱を可能とする」ための措置を検討するとしています。
その他、本制度を円滑に運用するための体制作り等にも言及されていますがこちらは割愛。
もし制度が開始されれば、会社の労務管理にも影響が出るのは必至なため、成り行きを見守りたいところです。