昨日の続きといえば続きですが、25日金曜日に厚生労働委員会で可決された働き方改革関連法案は、2018年4月6日に厚生労働省から提出された法案から一部修正が加わっています。
大きいのは連日報道されていた高プロ(特定高度専門業務・成果型労働制)に関する部分ですが、それ以外にも修正部分はあります。
衆議院のサイトに書いてある修正案はかなりわかりづらいので、もう少しわかりやすい形にして自分のメモ代わりにするついでに、今回記事にしたいと思います。
この記事の目次
1. 高プロ(特定高度専門業務・成果型労働制)の決議に「同意の撤回」が追加
高プロを導入するには労使委員会の決議が必要です。
その決議に高プロの対象労働者が自主的に、高プロから離脱できるよう「高プロの対象労働者となることについての同意の撤回」に関する手続きが追加されました。
改正労働基準法第四十一条の二第一項
(一から六号は省略)
七 対象労働者のこの項の規定による同意の撤回に関する手続
(これまで七、八、九号とされていた内容は、それぞれ八、九、十号に)
手続きの詳しい内容は今後、省令や通達で明示されることが予想されます。
2. 雇用対策法に「中小企業における取組の推進のための関係者間の連携体制の整備」を追加
本法案で現在の雇用対策法は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」に名称が変更され、実質的な「働き方改革基本法」として生まれ変わります。
この生まれ変わる雇用対策法の「第十条の三」として、今回の修正で、以下の規定が追加されます。
(中小企業における取組の推進のための関係者間の連携体制の整備)
第十条の三 国は、労働時間の短縮その他の労働条件の改善、多様な就業形態の普及、雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保その他の基本方針において定められた施策の実施に関し、中小企業における取組が円滑に進むよう、地方公共団体、中小企業者を構成員とする団体その他の事業主団体、労働者団体その他の関係者により構成される協議会の設置その他のこれらの者の間の連携体制の整備に必要な施策を講ずるように努めるものとする。
3. 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第二条四項の修正
労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の二条四項が、今回の修正により、以下のように変更されます(強調部分が今回、追加された部分です)。
4 事業主は、他の事業主との取引を行う場合において、著しく短い期限の設定及び発注の内容の頻繁な変更を行わないこと、当該他の事業主の講ずる労働時間等の設定の改善に関する措置の円滑な実施を阻害することとなる取引条件を付けないこと等取引上必要な配慮をするように努めなければならない。
4. 働き方改革関連法施行5年後の検討に関する修正
本法案は施行後5年を目処に検討を加え、必要な措置を講ずるとしています。
今回の修正で、単に検討を加えるのではなく、以下のような方向性を持って検討を加えることが明確化されました(強調部分が今回、追加された部分です)。
(検討)
第十二条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新労基法第三十六条の規定について、その施行の状況、労働時間の動向その他の事情を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
2 政府は、新労基法第百三十九条に規定する事業及び新労基法第百四十条に規定する業務に係る新労基法第三十六条の規定の特例の廃止について、この法律の施行後の労働時間の動向その他の事情を勘案しつつ引き続き検討するものとする。
3 政府は、前二項に定める事項のほか、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律(以下この項において「改正後の各法律」という。)の規定について、労働者と使用者の協議の促進等を通じて、仕事と生活の調和、労働条件の改善、雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保その他の労働者の職業生活の充実を図る観点から、改正後の各法律の施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
以上です。
正直、高プロ(特定高度専門業務・成果型労働制)の決議に「同意の撤回」が追加された以外は、労務管理に大きな影響はない修正といえるでしょう。
そもそも高プロの導入自体、現在の日本ではかなり限られていると思いますが。