労務管理

会社の指示で自社の社員が他社の社員に「悪質なタックル」を決めたらどうなるか、という話

2018年5月24日

昨日の記事がなかなかにヘビーだったので、今日は軽め。

問題となっている日大アメフト部の事件ですが、あれを労務管理に直すとどうなるか、というのが今回の記事のテーマ。

例として「社長の指示で自社の社員が、他社の社員に怪我をさせ、その後、社長はそんな指示はしていないと開き直る」といった状況を想定します。

(書きながら「どんな状況だ」と思わなくもないというか、やってることがブラックどころか黒い交際的な何かというか、まあ、いいや。)

こうした場合に、この社長は日大のアメフト部の元監督のように、責任逃れができるのでしょうか(まだ、事態は進行中なので最後まで逃げ切れるかはわかりませんが)。

結論から言うと、刑事上はともかく民事上はまず無理です。

というのも、こうした場合、社長の指示があったかどうかにかかわらず、会社には「使用者責任」が課せられるからです。

他人を使用する者、すなわち経営者には、使用される者、すなわち労働者の行為に対して一定の責任を負わなければなりません。

それが使用者責任です。

そのため、「怪我をさせろ」という指示が社長からあったかどうかにかかわらず、自社の社員が他社の社員を怪我させた時点で、損害賠償など民事上の責任について会社や経営者は免れないことになります。

この使用者責任は、雇用する労働者の行為なら何でも認められるわけではありませんが、過去の判例では免責を容易には認めていません。

もちろん、本当に指示があったとすれば、共謀共同正犯であり、民事上の責任に加え、刑事罰等の対象となることは避けられないでしょう。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士(登録番号 第23130006号)。社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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