今日は珍しく年金の話
今年の8月1日より老齢年金の受給に必要な資格期間が25年から10年に短縮されます。
今回の短縮により年金がもらえるようになった人には、日本年金機構から黄色い封筒で案内や請求書が郵送されているので、すでにそちらを受け取った人もいるかもしれません。
1. 在職老齢年金
今も働いていて、今回の短縮で年金をもらえるようになった人の場合、在職老齢年金という制度により、年金の受給額と現在の賃金の合計額によっては年金額が減る可能性があるので注意が必要です。
調整は賃金(厳密には総報酬月額相当額)と月の年金額の合計額で決まり、平成29年現在は、65歳未満の場合は28万円、65歳以上の場合は46万円を超えると調整対象となります。
「年金がもらえるようになったと会社にばれたら給与が減らされる」とか思って、会社に黙っている人がいるかもしれませんが、上記の額を上回る場合はどちらにしても年金額は調整されるので、これを機会に会社と相談して働き方の見直しをしてみるのもいいかもしれません。
会社の方でもそうした呼びかけをしておいた方がよいでしょう。
2. 8月1日に資格を喪失する高年齢任意加入被保険者も
もう一つ、今回の期間短縮で影響があるのが高齢任意加入被保険者です。
厚生年金の場合、70歳を超えるとそれ以上は厚生年金への加入はできません。
よって、70歳になっても老齢年金の加入期間を満たしていない場合、その人は老齢年金をもらえないということになります。
高齢任意加入被保険者とは、老齢年金の資格を満たしていない70歳以上の人が老齢年金の受給資格を得るまで、任意で厚生年金に加入できる制度です。
繰り返しになりますが、加入期間は老齢年金の受給資格を得るまでです(死亡や退職、保険料の滞納があったときも資格は喪失する)。
よって、今回、老齢年金の受給資格を得るための加入期間が10年に短縮されたことにより、今現在は25年に満たないけれど、今年の8月1日の段階では10年は超えている、という人も出てくるはずです。
そうした人たちは今年の8月1日に高齢任意加入被保険者の資格を喪失することになります(加入期間は7月までとなります)。
高齢任意加入被保険者は、基本的に被保険者本人が保険料を全額負担しますが、事業主が同意している場合に限り保険料を折半することもできます。
よって、事業主と被保険者と保険料を折半している場合は、8月以降の保険料を間違って徴収しないよう注意が必要です。
今日のあとがき
起こりうること、なので、一応書きましたが、今回上げた例はどちらも結構まれなケースですよね。
もちろん、今回の短縮措置で年金をもらえるようになる人は一定数いるし、その中には会社で働いている人もいるでしょう。
ただ、加入期間が短いのに在職老齢年金で調整されるほど年金があるのか、とか、そもそも高齢任意加入被保険者と保険料を折半している会社がどれくらいあるのとか、とか、って考えるとそうそういないきもします。