F1の影響か紳士協定は破られるものと認識している社労士の川嶋です。
セナとプロストの確執も、イモラでセナが紳士協定を破ったことが始まりで、本当はこっちを心ゆくまで解説したいところですが、今日はグッと我慢。
で、労務管理の世界にも紳士協定というのは存在していて、代表的なのは新卒採用に関して経団連が出している「採用選考に関する指針」という指針。
採用選考に関する指針(参照:日本経済団体連合会)
行政もよく「指針」を出しますが、経団連のは企業間の約束事で、当然、法的拘束力はありません。
厳密に言えば行政の出す「指針」も行政通達なので、法的拘束力はないのですが、法律を守る上での一定の方向性を示していることが多く、無視しづらい点が少し異なります。
1. 2017年は「3月情報解禁、6月選考解禁、10月内定解禁」
さて、6月に入って、就活の話題がメディアを騒がせ始めていますが、これも「採用選考に関する指針」に「選考活動をしていいのは卒業見込み年度の6月1日以降」と書いてあるから。
ここでいう選考活動とは選考試験と面接のことを指します。
他にどんなことがこの指針で決まっているかというと、まず「広報活動」の解禁日。
これは「卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降」と指針では示されています。
広報活動とはいわゆる就活生向けの「会社説明会」なんかがそれに当たります。
また、内定を出す時期についても決まっていて、正式なものを出していいとされているのは「卒業・修了年度の 10 月1日以降」。
よって、この記事を書いている6月現在に、内定を出すのは紳士協定に反することになります。
だから、どこの企業も10月までは内定ではなく内々定を出すわけです。
2. 指針に反すると?
大まかな内容はこのような感じですが、では、この指針に反するとどうなるのでしょうか。
どうなるのでしょうかも何も、紳士協定なのだから、罰則も何もないんですけどね。
そもそも、経団連に加盟してない企業は紳士協定を守る義理もないわけですし。
ただ、守らないことによって不利益がないかというと、これはこれでわからない。
ルールを守ってる側の会社からの批判もあるでしょうし、もしかしたら、ルールを守ってない企業をみて、就活生側が「ブラック企業かもしれない」と思う可能性はゼロではないですし。
今日のあとがき
冒頭でも書きましたが、わたくし、紳士協定のような法律で決まってないようなルールに関しては、正直、軽くみています。
就活っていう制度というか、文化っていった方がいいかもしれないけど、こういう合理性のないものに関してルールでがんじがらめにするっていうのも、どうなんだろうなとも思っています。
だから、今まで、この手の話題には触れてこなかったし、まあ、正直無知だったんですが、遅ればせながら最近勉強したので記事にした次第です。
このところ、就活に関するルールの変動が大きいので、来年はまた変わってる可能性もありますが、ただ、何でもそうですが、一回勉強すると、その次に新しい情報が出たときもアンテナが反応しやすいし、理解も早い。
なので、今年に関してはちょっと遅かったけど、来年以降には活きるのではと思ってます。