昨日は、正社員とパートの扱いを規則上できちんと分けた方が変なリスクがなくていい、だから、パートタイマー就業規則は作った方がいい、という話でした。
なぜ必要? 絶対必要? パートタイマー就業規則作成のメリットとは
過去記事見直してたら、ほぼ同じ内容のことを4ヶ月前に書いてた(汗)。
同一労働同一賃金でより重要性が高まりそうな「パートタイマー就業規則」について
完全に忘れてたよ・・・、トホホ。
まあ、わたしの鳥頭ぶりは置いておいて、そもそも正社員とパートタイマーとのあいだがきちんと区別されていないことには、両者で分けて就業規則を作成してもあまり意味をなさない可能性があります。
というわけで、今日は正規や非正規などの労働者の定義の話。
1. 法律上明確な定義はない
一般に正社員以外の非正規労働者の呼び方として、パートやアルバイト、契約社員などがあります。(派遣はこれらと性質がまったく異なるので今回は省きます)
しかし、どれも法律上、明確な定義があるわけではありません。
パートタイム労働法には「短時間労働者」の定義はありますが、「同一事業所で働く通常の労働者と比して、1週間の所定労働時間が短い者」とあるだけで、パートやアルバイトの一般的なイメージであるシフト制や時給制は関係ありません。
勤務様態や賃金がどのようになっていようと、労働時間が通常の労働者よりも短ければ「短時間労働者」なのです。
また、契約社員に関しても、労働基準法や労働契約法には「契約期間」に関する規制や条文はあるものの、「契約社員」そのものの定義はありません。
現実にも契約期間のある労働者全てが契約社員というわけではなく、パートやアルバイトでも契約期間がある場合というのは決して少なくありません。
要するに、「労働時間」や「契約期間」によって注意しないといけない法規制はあるものの、それらさえ注意していれば、パートやアルバイト、契約社員といった呼称や定義は会社次第というわけです。
2. 行政が考える「非正規」も参考に
ただ、定義は会社次第といいつつ、ある程度、参考にしておいた方がいいと思われるのが助成金です。
最近、問い合わせの多いキャリアアップ助成金は一般に、非正規を正規にした場合にもらえる助成金という理解がされています。
ただ、この「非正規」というのがくせ者で、対象となる労働者が有期の非正規か、無期の非正規かでもらえる助成金が大きく変わるからです。
例えば、無期の非正規労働者を正規に転用した場合の助成金額は「28万5千円(※)」ですが、有期の非正規労働者の場合は「57万円(※)」と額が倍となります。
このように、「行政の考える非正規」というものを踏まえておくと、今現在、助成金の申請等を考えていなくても、後々、得になる可能性があります。
※ 平成29年5月現在。中小企業の場合で一定条件を満たさない場合
今日のあとがき
意外と書く場がなかったので、非正規の定義と就業規則への記載についてここで解説。
これに関していうと、基本的には、正社員と非正規の扱いが明確に別れていることが重要なので、非正規の種類がパートや契約社員等複数ある場合でも、まずは「正規」の定義と「非正規」の定義を明確にして区別し、個別の非正規の労働条件については、他で作るパートタイマー就業規則や諸手当で対処するのが現実的かと思われます。