賃金

残業手当の計算で間違えやすい役職手当の取り扱いについて

2017年5月18日

少し前に未払い残業代が発生する理由について解説しました。

エイベックスやヤマトで話題の「未払い残業代」って何? 発生する原因は? を解説

仕事柄、いろんな会社の就業規則を見ますが、意外に多いのは役職手当と残業代に関する誤解や勘違い。

多い勘違いには2つあって、1つは役職手当は残業代の代わりになる、というもの。

もう1つは役職手当は残業代の計算に含める必要がないというもの。

 

1. 役職手当は残業代の代わりになるか

まず「役職手当は残業代の代わりになる」かどうかについてですが、これは絶対にならないとは言いきれないものの、そうなる状況はかなり限定的。

というのも、通常、役職手当というのは、役職ごとに額が決まっています。

一方、残業代は労働時間に応じて額が変動します。

よって、代わりになるとしても「固定残業代(みなし残業)」という扱いになります。

固定残業代が固定残業代としてきちんと認められるには以下の条件を満たす必要があります。

  1. 他の賃金や手当と明確に区分されている
  2. 時間外労働の何時間分に当たるか、明確に定められている
  3. 2の時間を超えた場合、別途で超えた分の時間外手当が支払われている

固定残業代として認められる条件に「名称」というのはないので、上記の条件を満たしている限りは名称が「役職手当」であったとしても、固定残業代として認められます。

いずれにせよ、労働者と未払い残業代について争いになったときに、あらかじめ「役職手当=固定残業代」というように制度を組み立てておかずに、苦し紛れに「役職手当が残業代だ」と言ったって、それは通らないわけです。

 

2. 役職手当は残業代の計算に含める必要はないか

もう一つの「役職手当は残業代の計算に含める必要がない」というのはどうでしょうか。

時間外手当の計算に含めなくてもいい手当、というのは、以下の7つしかありません。

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われる賃金
  • 1ヶ月を超えて支払われる賃金

逆に言うと、上記のもの以外は全て残業代の計算に含める必要があり、当然、役職手当も残業代の計算に含める必要があります。

ただし、役職手当が固定残業代と認められる場合、残業代の計算に残業代を含めるわけにはいかないので、計算から外すことができます。

 

以上です。

今回書いたことは、例えば外回りの営業をする労働者に「営業手当」を支払っている場合なども、扱いは同様となりますので参考にしていただければと思います。

 

今日のあとがき

4年前に買ったNexus7(2012)を、自炊したマンガを読む用に未だに使ってますが、不要なアプリを容赦なく消したにもかかわらず動作が重いのが困りもの。

その一方で、世間的には、Nexusシリーズがなくなり、iPad miniも現行モデルで終了との話で、7インチ前後のタブレット市場が急速に萎みつつあるのが寂しさ半分、Nexusの代替機にお困り半分だったんですが、来月Kindle fireのニューバージョンが出るみたいですね。

Nexusを買ったときはNexusとKindleとiPad miniが三つどもえの争いをしていて、どれにするかで随分迷いましたが、結果的に商品として生き残ったのはKindle。

電子書籍を売る、という明確な目的があるから、他がやめていく中でも続けられるんでしょうね。

たぶん買うと思うんですが、サイズとストレージをどうするかでまだ迷ってます。

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士(登録番号 第23130006号)。社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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