というニュースが出ていましたね。障害者の雇用が増えること自体はいいことだと思うのですが、記事の最後の「今後は中小企業で」みたいなニュアンスはどうなんでしょう。
これは少し前にわたしのお客様から聞いた話ですが、身体的な障害を持つ障害者や、比較的障害の軽い知能障害者といった、企業として扱いやすい障害者というのは、大きな企業が根こそぎ持っていってしまうらしいんですね。それこそそういう障害者の通う特別支援学校などと提携して、です。なので、法定雇用率を達成するための障害者を雇うのに非常に苦労しているそうです。
なぜ、大企業がそこまでするかというと、、障害者の法定雇用率を下回る企業には障害者雇用納付金を支払う義務が発生してしまうためです。逆に法定雇用率を上回る企業には障害者雇用調整金という形で国からお金が出ます。なので、大企業が障害者雇用を増やしているのは、記事にあるような「社会的な責任」だけではない、というのがわたしの個人的な見立てです。
一方で、このように大きな企業が比較的障害の軽い労働者を雇ってしまう、それも大企業が障害者雇用を増やせば増やすほど、必然的に中小企業(といっても、障害者雇用納付金の納付対象となるのは労働者200人超の会社ですが)に回ってくる障害者というのは障害の重い労働者となってしまうわけです。
なので、大企業の障害者雇用と、中規模企業の障害者雇用を同列に語るのはなかなか難しいというか、無理があるのでは、と思うのです。障害者を多く雇えば雇うほど、企業内にノウハウもたまり、障害者を雇うだけの体制が整うわけですが、その経験値でも中規模企業は大企業よりも不利なわけですから。
ただ、無理があるというわたしの考えとは裏腹に、現在、障害者雇用納付金を納める義務があるのは労働者の数が200人を超える企業で法定雇用率を達成していない企業ですが、平成27年4月より、この人数が100人超に変更となります。