非正規労働者の雇用

非正規をすべて正規にした際のコストを単純計算で考える

2014年11月5日

平成25年分民間給与実態調査の結果が出ています。

正社員と非正規の給与の平均給与の格差だったり、同じ正規や非正規でも男女間でどれだけ差があるのか、といった詳しい解説はこちらの名南経営さんのブログ記事に詳しく書いてあるので割愛。

今回の調査結果を見ると、1年を通じて正社員だった給与所得者の数は3,056万人、一方、1年を通じて非正規労働者だった給与所得者数の数は1,040万人となっています。

また、平均給与を見ると正社員は約476万円、非正規は168万円となっており、それぞれの給与の総額は正社員が約144兆円、非正規が約17兆円となっています。表にすると以下の様な感じです。

無題

さて、左寄りの政治家やマスメディアなんかが「非正規をすべて正規に」なんて言ったりしてますが、果たしてそんなことは可能なのでしょうか。

少なくとも現在の正社員の賃金額をキープしたまま今の非正規を正規にしたら、

1040万人 × 476万円 = 49兆5040万円

つまり、「49兆円-17兆円」で約32兆円もの人件費が日本全体で余分にかかります。

このコストは一体誰が負担するのでしょうか。

平成25年の給与総額が192兆円で、これに32兆円をプラスすると224兆円となります。224兆を192兆で割ると1.1666666…、ですから、賃上げだけでこの32兆円をどうにかしようとすると約16%もの人件費の増額が必要になります。

別に、賃金額は多少下がっても正社員になりたいという人もいるかもしれませんが、先程述べたような政治家やマスメディアはおしなべて賃下げは賃下げで反対の立場。

なので、きっと彼らの頭のなかにはこの32兆円をどうにかするプランが有るはずです(反語)

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士(登録番号 第23130006号)。社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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