前回の記事について細かいことですが補足しておきましょう。
2015年改正予定の改正労働者派遣法では、ほとんどの面でこれまでよりも規制が強化されます。今回の改正で唯一規制緩和といえるのは、「同一業務3年」という制限を撤廃し、「同一労働者3年」という制限を導入するという点だけです。
朝日新聞や東京新聞のような労働者側に偏った報道をするメディアでは、この部分を非常に問題視していますが、実際にはこの部分は派遣労働者からすればほとんど問題になりません。なぜなら、同一労働者3年だろうと、同一業務3年だろうと、派遣労働者の派遣期限の上限が3年のままなのに変わりはないからです。(厳密に言えば、同一業務3年だったこれまでは派遣労働者のすべてが派遣期限の3年まるまるいっぱい働けるわけではなかった)
なので、「派遣労働者が3年で次々切り捨てられる」という現実は今の法律のままでも起こりえるわけで、その1つの結果が派遣村騒動でした。よって、派遣法の改正の結果、つまり、同一業務3年が同一労働者3年の変更の結果、派遣労働者の雇用が危うくなるという論理はあまりにおかしい。彼らの雇用は今のままでも法律が改正されても同じくらい危ういのだから。
今回の法律改正でより問題なのは、特定派遣の廃止や専門26業務の廃止といった、派遣労働に対する規制強化の部分であり、これらの改正のほうがよっぽど派遣労働者の雇用を危うくします。
なので、わたし個人としては今回の改正には反対です。また一方で、先述したようなメディアが誤解を撒き散らす中で法案が通ることで、世間一般が間違った因果関係を認識するであろうことについても懸念しています。