労働保険・社会保険制度の解説

失業、労災から生活守る(働く人を守る労働保険、最終回:中日新聞連載)」

2016年9月29日

 

この連載では半年間、雇用保険や労災保険の仕組みを解説してきました。それでも、両方の保険を日常的に意識したり、考えたりする人は多くはないかもしれません。雇用保険は主に「失業」に、労災保険は主に「労働災害」に対する保険ですが、ともに頻繁に起こることではないからです。実際、今まで雇用保険や労災保険を利用したことがない人が多数ではないでしょうか。

しかし、不幸は突然やってきます。失業によって働く場所を失ったり、労働災害によるけがや病気で働きたくても働けなくなったりするのは、非常に大きなリスク。給与が得られず生活に困る恐れが出てくるのですから。

そんなときでも、月収三十万円の人であれば、雇用保険からは失業時に一日当たり五千七百円ほどの基本手当が支給されます。労働災害に遭い休業を余儀なくされた場合、同じように月収三十万円なら、一日八千円ほどの休業補償給付がもらえます。万が一のことが起きても、給付をもらえると知っていれば、失業や労働災害に対する心構えは変わってくると思います。

失業や労災事故に直面したときだけでなく、育児のための育児休業給付金、資格取得のための教育訓練給付金など前向きに手助けしてくれる仕組みもあります。

残念ながら、保険料の負担を嫌がり、雇用保険や労災保険に未加入のまま人を雇っている企業があります。しかし、人を雇うことは人生を預かることに近く、両保険への加入は最低限の礼儀ではないでしょうか。

「働く人を守る労働保険」は今回が最終回です。陰ながら生活を支える労働保険を知るきっかけになれたとしたら、幸いです。半年間、ありがとうございました。

中日新聞H28.9.29付「働く人を守る労働保険」より転載

 

今年の四月から中日新聞で始まった連載「働く人を守る労働保険」も今回が最終回です。一応、打ち切りではなく、もともとの予定通り完走させていただいただけなのであしからず。

わたしにとっては初めての連載だったわけですが、半年間やってみて思ったのは学ぶことだらけだったのということです。

1つだけ例をあげると、新聞では文字数制限もあるし、読んでる層もブログよりも遥かに幅広いので「文字数を抑えつついかにわかりやすく記事を書くか、」ということが重要になります。

普段から文字数制限のないブログで好き勝手書くことに慣れているわたしには全然備わってない技術です。

でも、わたしの連載を担当してくださった記者の方は、当然のことながらそうした技術を持っているので、初稿をメールで送って、それが返ってくると「ああ、ここはこういうふうに直すんだ」と感心させられること、驚くことが多々あり、勉強になりましたね。

 

連載中は火曜日か水曜日に、次の週の原稿を書く、というサイクルで連載記事を書いていましたが、今週はもうそれもなし。

寂しいし、なんだか落ち着きませんが、ほっと一息つけていたりもしているので、なんとも複雑です。

まあ、連載中よりは多少なりとも時間ができると思うので、お仕事のオファー等、お待ちしております(笑)。

 

最後になりますが、この連載の話を持ってきてくださったH氏、連載の担当をしてくださったS氏、そして、中日新聞社への感謝の言葉でこの投稿を締めたいと思います。

本当にありがとうございました。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士(登録番号 第23130006号)。社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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