就業規則

転勤規定に一文だけ必ず入れたい引越し料金のオプション代のこと

2016年9月19日

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よく読むブログ、というのがいくつかあって、そのうちの一つがこちら。

引っ越しラクっとBlog

別に引っ越しする気は今のところないのですが、引越しにまつわる様々なエピソードが毎日更新で紹介されているのでよく読みます。

で、ちょっと気になったのがこちらの記事。

総務人事部や経営陣にはバレたくない!! 転勤者がこっそり引越代金に含めようとするオプション作業

 

1. 引っ越しのオプション代を会社に請求

会社の都合で転勤させる以上、引越し費用を会社が負担する、というのは、まあ、普通でしょう。誰が好き好んで引越し代自腹切って転勤するか、って話なので。

ただ、引越し料金には必要最低限の基本料金と、引っ越し依頼者が楽するためのオプション代があります。

基本料金はともかく、オプション代までは払えない、どうしても払いたいなら自腹で、と思う会社が大半だと思います。

でも、労働者の中には、どうせ会社の金なんだから、オプションをいっぱい付けたいと思う人がいます。

でも、普通に見積もり出したら会社にバレるから基本料金の中にオプション代を含んだ見積書を出してほしいと、引っ越し会社にお願いする人もいるのだとか。

 

2. 放置は危険

記事を読んで、そんなことすること奴がいるのか、というのが、転勤経験がないわたしの正直な感想でしたが、いるからには対処せざるを得ない。

放置していると企業内の秩序が崩れる可能性があるわけですから。

まず、こうしたことが起こりうる一番の要因は、転勤者に引越し料金の見積もりを出させること。会社の見えないところで直接交渉させると、良からぬことが起こる可能性が上がるわけです。

なので、一番の対処法は「転勤者に直接引越し会社との交渉をさせない」ことになりますが、それでは人事・総務の負担が増えて、対応が現実的でないという場合にはそういった作業を外注してしまうのも手なのでしょう。

 

3. 転勤規定に一言プラス

こういった実務的な対処と平行して、社労士がおすすめしたいのは、会社として明確なルールを作っておきましょう、ということ。

そもそも、社員がよく転勤する、という企業というのは複数の事業所を持っている会社であることが前提。それも同じ県内に複数とかだと、勤務先が変わっても引っ越しまでは不要ということも起こる。よって、中規模から大規模の会社、というのが多い。

となると、そうした規模の会社では、最低限の転勤に関する規定や転勤時の引っ越しに関する規定があるはずです。

引越し料金をどのように精算するかにかかわらず、規定にきちんと引越し時の料金には「オプション代は含めない」と書いておけば、会社としてそういった行為は「認めない」と示せることになります。

 

4. ルールで人は縛れないが、有利には持っていける

もちろん、ルールがあれば人が必ずそれを守るのであれば、犯罪なんて起こらないわけですが、ルールがあるといろいろやりやすいのも確か。

例えば、こういう、はっきり言って図々しいことをする人って、こういう非常識なことをしても「何がいけないの?」みたいな感じで人事・総務の人にグイグイ来ることが多いんですよ。

で、人事・総務の担当者の気が弱かったりすると、その押しにやられてなし崩し的に、OKを出してしまうことが起こりううる。

でも、ルールで決まっていれば、そういう気の弱い人でも「ルールで決まってるから」の一言で跳ね返せるわけです。

当然、ルールで決まってることを破れば、会社としては処罰の対象にもできます。

つまり、ルールで人の行動は縛れないけれども、ルールによって会社が有利となる状況は作れるわけです。

 

5. 入れ得なルールは少なくない

 

もちろん、就業規則のような会社のルールは、労働者だけでなく会社も守る必要があり、会社も守っていないルールではそもそも効力が認められるかも怪しい。

そういった意味ではあまりに何でもかんでもルールで労働者をがんじがらめにするのは、会社にとってもマイナスになりうるわけですが、今回のような「引越し料金にオプション代は含めない」みたいな規定は、守る際に会社には何の負担もないので完全に会社だけ得。入れ得なルールなわけです。

こういった規則は実は他にもいろいろあるのですが、一応、飯の種ではあるので、今日はここまでです。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士(登録番号 第23130006号)。社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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