民進党の蓮舫議員が二重国籍で、それが選挙出馬時の経歴詐称に繋がるのでは、ということが話題になっています。
(追記:これは昨日の朝に書いた記事ですが、一晩明けたら、話題どころか大事になってますね)
意図的にやったというよりは過失の部分が大きいようですが、発覚後の逃げ方がまずくてちょっと炎上気味です。
今回は問題の発端となった二重国籍と会社の労務管理について。
1. 国籍にかかわらず法律は適用される
先に言ってしまうと、労務管理に関わる労働法や社会保険諸法は国籍を重大な要件としていません。
条件を満たしていれば、外国人だろうと日本人だろうと一緒、なわけです。
ただし、外国人の場合、在留資格によって労働時間に制限がある場合があるので、外国人を雇用する会社はそこは気をつけなければなりません。
2. 労働者が二重国籍で気をつけること?
ここからは、蓮舫氏が疑惑をかけられている二重国籍についてですが、基本的に日本では二重国籍は禁止されています。ただし、罰則はありません。
また、合法的に二重国籍となる場合もあって、代表的なのは国際結婚などにより、日本国籍の人と他の国籍の人が結婚して生まれた子どもの場合がそう。
この場合は、22歳になるまでにどちらかの国籍を選択する必要があります。
よって、高卒の労働者を雇う企業の場合、意図せず二重国籍の労働者を雇うことがありえます。
ただ、他の国籍を持っていたとしても、日本国籍もあるわけですから、会社としては労働者が外国籍を選んで日本国籍から離脱しないかぎりは特別な手続き等は不要です。
ちなみに、22歳までに国籍を選択しない場合は日本国籍となりますが、日本で日本国籍を選択することはイコールで一方の外国籍を捨てることにはなりません。その手続を忘れると今回の蓮舫議員の疑惑のようなことになるわけです。
3. 外国人雇用状況の届出はどうするか
労務管理の現場で、二重国籍が唯一問題となりうるとすれば、雇用保険の取得(※)です。
※ 厳密に言うと雇用対策法28条の「外国人雇用状況の届出」を雇用保険の取得のついでにやっている。
雇用保険の取得の際、外国人だと申請書に国籍や在留資格等を記入したうえで在留カードのコピーを添付する必要があります。
二重国籍の場合、この箇所をどうすればいいのでしょうか。日本国籍があるのだから書かなくてもいいのか、外国籍を持っているのだから書くべきなのか。
ハローワークに確認したところ、在留カードを持っているかどうか、が1つの判断材料となるそうです。
在留カードを持っている、つまり、政府がその人を外国人と認めた、ということになるからです。
実際、在留カードがない、つまり、外国人登録をしていないと、在留資格や期間を書くこともできませんしね。
というわけで、労務管理の現場ではあまり二重国籍をはじめとする国籍は関係ない、どうしても判断が必要なときは在留カードの有無で考えましょう、というのが今回の結論です。
「在留カード」および「特別在住者証明書」の見方(リンク先PDF)
参照:法務省入国管理局