社労士試験の選択式がいかに運ゲーで、そこに救済という制度がいかに怠慢で傲慢かという話を前回しました。
今回は実際に「確率」を用いることで、運ゲーの「運」の部分を露わにしていこうかと思います。
ただ、わたくし、数学は、高校1年の通知票で5段階評価で2を取り、その後すぐに高校自体を辞めている数学落第生なので、今回はこちらのサイトの
確率計算機を使わしてもらいます。(リンク先のツールはFlashを使っているので、スマホとかだと使えないかもしれません)
この記事の目次
1. 確率の基本的な話
サイコロを1回降ったとき、6が出る確率は6分の1です。
では、6回降ったら1回だけ6が出るのかといえばそういうわけでもなく、1回も出ないこともあれば6回全部6ということもあります。
いわゆる、確率の偏りという話です。
このガチャ確率計算機は、サイコロを6回降った時に6が1回出る確率はいくらあるのか、2回出る確率は? といった確率を算出するのに使います。
上記のような確率の出し方については、長くなるので詳しくは説明しませんが、どうしても知りたい方はこちらの記事を読むとわかりやすいです。
出現確率1%のガチャを100回引いても,4割近くの人は全部はずれる。“本当の確率”を読み解いてみよう
2. 選択式でボーダーを超える確率の求め方
社労士試験が運ゲーである最大の理由は選択式です。
社労士試験の選択式は、1教科につき5問あり3問以上正解しないとボーダーラインに引っかかり不合格になります。
選択式は8教科あり、1教科でも落とせば不合格です。
よって、この記事では、8教科すべてで5問中3問以上正解する確率を求めます。
先ほどのサイコロの例でいうと、サイコロを5回振って3回、6が出る確率を求めるのと同じ要領です。
2.1. 正答率=実力
ただし、サイコロで6が出る確率は6分の1で固定ですが、当然、1問あたりの正答率は受験生によって異なります。
今回は、この正答率の部分を受験生の実力と考え変動させていきます。
ちなみに、試験では、問題と受験生の相性によって、100%解ける問題や、4割くらい確率でしか解けない問題など様々ある上、社労士試験はマークシート式なので、実力以上に正解率が上がることは百も承知ですが、今回はそれらもひっくるめて「正答率」としていきます。
よって、「正答率60%」という場合は、上の諸々の話を全てひっくるめたうえで。1つの問題が解ける確率60%とします。
また、今回の記事では救済は基本考慮しません。
3. 正答率70%で1教科のボーダーを超える確率
まず、例として正答率が70%の受験生がいたとします。
なぜ、70%かというと、70%あれば、全体の合格点にはほぼほぼ届きます。
ただし、すでに述べたように、社労士試験では教科ごとにボーダーラインがあり、全体で7割取っても、1教科でも5問中2問以下しか正解できないと不合格となります
この正答率70%の受験生が、選択式の問題を5問中3問以上正解する確率はどれくらいになるかガチャ確率計算機で求めます。
結果がこちら。
上のガチャ確率計算機のスクショは、単語や単位がガチャ基準なっているので、それらを以下のように読み替えてください。その方が意味がわかりやすいです。
- 出現確率=正答率
- 試行回数=問題数
- 出現回数=正解数
- ○回=◯問
結果、正答率70%の人の場合、5問中3問以上正解する確率は83.692%あることがわかります。
言い換えると、5問中2問以下しか正解できない確率は、
100%-83.692%=16.308%
あることになります。結構高いですね。
これが、正答率80%の人となると、話はだいぶ変わって、5問中3問以上正解する確率は94.208%。1教科あたりのボーダーに引っかかる確率は5.792%と激減します。
4. 驚愕の、正答率70%で全教科のボーダーを超える確率
さてさて、社労士試験の選択式は8教科あります。当然、1教科でもボーダーに引っかかったらジ・エンド。
なので、8教科すべてボーダーラインを超える確率も求めないといけません。
さきほどの例の正答率70%の人の場合、1教科あたりのボーダーを超える確率は83.692%ですので、それらをガチャ確率計算機に入れ込みます。
で、結果がこれ。
画像内の単語は、今回は以下のように読み替えてください。
- 出現確率=1教科あたりのボーダーラインを超える確率
- 試行回数=教科数
- 出現回数=ボーダーラインを超えた教科数
- ○回=◯問
8教科すべてでボーダーを超える確率は、なんと24%しかない!
現実は残酷!
つまり、正答率70%くらいじゃ、そうそう全教科でボーダーラインは超えられないのです。
5. 正答率80%でも驚きのボーダー引っかかり率
一方で、正答率80%の場合だと、
なんと62%まで上がります。
70と80でこれだけ違うということは、要するに、社労士試験は、合格ラインが70%だとしても、70%ギリギリしか取れない人では、まず受からない試験ということです。
そして、何より、合格ラインよりも明らかに上の実力(正答率80%)があっても、38%は落ちるというのが、そもそも社労士試験の選択式が運ゲーである揺るがぬ証拠ではないでしょうか。
まあ、救済とかいう傲慢な制度があるおかげで、厚生労働省と全国社会保険労務士会連合会のご厚意のおかげで、実際にはもう少し落ちる確率は下がるはずですが。
6. 運ゲー度を下げる簡単な方法
さて、最後はわたしからの提案。
社労士試験の選択式は、制限時間80分の中で行われますが、大抵の人は30分もあれば全部解けます。
途中で帰ることもできますが、そうすると試験問題を持ち帰れないので自己採点ができない。
しぶしぶ残って、暇をもてあますことになります。
(追記:これは選択式が午後に行われていた、2011年から2015年の話。2016年からは午前中に選択式が戻ったので途中退出もできます)
個人的には教科数はそのままで、問題数を倍増にしてもいいのではと思います。
というのも、問題数が増えるというのは、ガチャで言う試行回数が増えるのと同じで、確率の偏りが収束されるやすくなるのです。
例え、ボーダーラインの割合が同じであっても、5問と10問だと、ボーダーを超える実力のある人なら、10問のほうがボーダーラインを超える確率は上がる。逆に問題数が少ないほうが、ボーダー以下の実力しかない場合は有利です。
じゃあ、どれくらい変わるのかというと、正答率70%だと、10問中6問の場合、約27%。5問中3問に比べて3%しか上がりませんが、正答率80%だと約76%、62%から14%も上がります。
加えて、今回の記事では、問題ごとの難易度を度外視して確率を求めていますが、現実には問題の難易度には差があります。
現在の選択式だと5問中5問ともわけのわからん問題が出る確率が結構ありますが、さすがに10問となると、10問とも、ということは考えにくい。
よって、個人的には社労士試験の運ゲー度を下げる、一番現実的な方法ではないかと思っています。
以上です。
計算方法で何か間違ってる点があったらTwitterかFacebookで教えていただけるとありがたいです。