現在、労働者派遣法では「同一業務で3年以上労働者を派遣する」ことを禁止しています。
しかし、今日のニュースによると、これに対して改正の動きがあるようです。
さすが、労組の言いなり民主党とは違うな自民党、と思ったのもつかの間、改正の方向性がかなり怪しい。
これまでの「同一業務3年以上の派遣の禁止」の場合、派遣先はある業務で派遣労働者を雇って3年が経つと、派遣労働者を変えようが派遣会社を変えようが、どうあがいてもそれ以上、その業務で派遣労働者を雇うことはできませんでした。
加えて、去年の10月の「離職後1年以内の労働者派遣の禁止」改正により、クーリング期間を用いた脱法的な行為も不可能となり、派遣労働者を数多く受け入れる大手製造業などでは大混乱となっていました。
そのため、今回の改正案はこの「同一業務」という縛りはやめよう、ということになりました。
当然ですよね。だって派遣期間が3年経つと、派遣先は派遣労働者を受け入れられず、派遣元は派遣労働者を派遣できず、派遣労働者も派遣先で働くことができません。つまり、誰も得しないのです。
で、「同一業務」の代わりに「同一労働者」の期間を制限しようというのが今回の案なのです。
なんというか、お口あんぐりですよね。
確かにこの案なら、3年経とうが5年経とうが派遣先は派遣労働者を受け入れられるし、派遣元は派遣労働者を派遣できます。その一方で派遣労働者は3年ごとの交代を余儀なくされるでしょう。
とはいえ、「同一業務3年」の現在では、個々の派遣労働者の就業期間が実質3年に満たない現状を考えれば、多少の進歩は見られます。また、今回の改正案を提案している「一般社団法人 日本人材派遣協会」によれば、労働者の希望によりさらに2年の延長が可能にしたいという考えのようです。どちらにしても派遣期間を制限する意味がわからず説明も不十分ですし、派遣先&派遣元が得られるメリットと派遣労働者の得られるメリットの釣り合いが取れてません。
ただ、「一般社団法人 日本人材派遣協会」のホームページに掲載されている「今後の派遣労働者派遣制度(リンク先pdf)」を見る限り、派遣労働者の就業期間制限以外の内容は比較的常識的な範囲(「離職後1年以内の労働者派遣の禁止」にも反対しています)。なので、もしかしたら、この改正を足がかりに徐々に期間制限の撤廃を考えているのかもしれません。いきなり言っても制限を撤廃しようとすると厚労省の役人が抵抗しますし、何より3年あればさらなる法改正も可能ですからね。(仮にそういう頭もなく今回のような提案をしてるとしたら、この協会は・・・)