政治家ってのは世の中のことを何もわかっていない、っていうのはちょっとステレオタイプな物の見方かもしれませんが、この人に限ってはそういう目で見て何も問題ないでしょう。
いろいろな理由で限定正社員導入に対して反対意見が書かれていますが、はっきり言ってすべて読む価値なし。なぜなら、限定正社員という制度はすでに多くの企業で導入されているから。
正社員を解雇した際の訴訟では、会社がその労働者を解雇する前にどれほどの努力をしたかが必ず争点になります。そして、この会社の努力というものには、その労働者に対して改善のための指導や教育訓練の他に配転、業務の変更などが含まれます。
しかし、労働契約で地域や職務を限定している場合、原告が解雇の前に配転や業務変更がなかったことを不当と裁判官に訴えても、ほとんど場合、裁判官はそれを聞き入れません。
会社からしたら解雇訴訟はただでさえ負け戦です。そのため、こうした過去の判例から、訴訟リスクに対するヘッジとして地域や職務を限定しておくというのは、特に中途採用の場合、今や珍しくもなんともないのです。
よって、限定正社員制度の導入に反対するなどというのはあまりにおバカな話(まあ、導入することに賛成するというのも変な気がしますが)。
また、現状、民法の契約自由の原則の観点から見ても、労働契約法の条文に照らし合わせても、労使のあいだで合意があるのなら、限定正社員制度を邪魔する法制度は存在しません。
つまり、本当に限定正社員制度を亡き者にする気なら、労働契約法に「労働契約を結ぶ際、地域や職務を限定してはならない」みたいな条文が必要になるわけですが、ここまで契約内容を制限されると労働契約とは契約という名のついた別の何かのような気さえしてきます。
限定正社員制度の討論で、導入の是非を問うなんてのはナンセンス。限定正社員の論点は限定正社員の解雇ルールの法制度化だけです。