賞与の時期ですね。
賞与をもらえる身分ではないので、賞与をもらえる人を羨ましく思いながら、賞与届けとかを出したりしてます、名古屋で社労士やってる川嶋です。
賞与のような仕事(!?)をいただける方、募集中ですよ!
この記事の目次
1. 賞与は本来不確定なもの
まあ、冗談はさておき、賞与というのは労働基準法上特に定めはなく、通達で
「賞与とは、定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額が予め確定されていないものをいう」
とされているに過ぎません。
つまり、賞与というのは本来もらえるかどうか非常に不確定なものであり、会社に支給する義務はありません。
ちなみに法律的なことで付け加えると、支給の時期も額も、成績等と関係なく毎年ほぼ決まっているようなものの場合、それはいくら賞与と名が付いていても、実質的には賃金であると判断され、会社に支払う義務が生じることがあります。
2. 期待を裏切られたとき、人は大きなショックを受ける
しかし、毎年同じ時期に、一定の賞与が支払われれば、いくら不確定とはいえ、労働者の側は「期待」するものです。
そして、「期待」がある状態とない状態とでは、もらえなかったときの精神的なダメージはぜんぜん違います。
試験に手応えがあったのに志望校を落ちた場合と、記念受験で受験に落ちたときではショックが全然違いますよね。そういうことです。
3. 期待を裏切られたと思うとき、労使トラブルは起こる
これはあくまでわたしの経験則からの話ですが、こうして労働者のほうが「期待を裏切られた」と思うとき、往々にして労使トラブルは起こるものです。
もらえると思ってた賞与がもらえない、だから監督署に行く。有期雇用の延長してもらえると思っていたのにしてもらえなかった、だから(以下略)、出世できると思っていたのにできなかった、で、さすがに監督署に行く人はいないけど、その腹いせに会社の労基法違反をちくりに行く、なんてこともあるわけです。
特に、最後の「不満」を抱えた状態での「期待」の裏切りは導火線に火をつけるも同義。
会社からしてみれば「勝手な期待」と思うような内容も少なくありませんが、それでもこうした「期待」がトラブルになりうるのは確かなのです。
4. 期待はさせるな、約束をしろ
ここでいう「期待」とは「今後この会社は大きくなっていくだろうから頑張りたい」みたいな期待とも全然違います。
あくまで、労働条件に対する期待です。
では、会社は労働者の期待に全て応えなければならないのか、といえばそういうわけではありません。
会社と労働者のあいだには必ず労働契約や就業規則という、労使間での約束事があるわけで、それを超えた期待や反する期待には応える義務はありません。
つまり、労使トラブルを避けたいのであれば、「勝手な期待をされる前に、きちんと約束しなさい」ということなのです。
労働者が「勝手な期待」を抱いてしまう会社では往々にして、こうした約束事が曖昧なことが多いのです。
もちろん、約束をする(労働契約を結ぶ、就業規則を作る)というのは、労働者はもちろん、会社もその内容に縛られれるわけですから、窮屈と思う場合もあるでしょうが、転ばぬ先の杖だと思ってきちんと整備したいところです。