就業規則を初めて作成するタイミング、というのは基本的には従業員の数が10人以上となった頃だと思います。もちろん、10人以上となる前から作成している会社等もあるとは思いますけどね。
では、作成した就業規則を変更するタイミングというのはどうでしょうか。
多いのは「古くなったからそろそろ」という場合ですが、古くなったから変える、古くなったから変えるの連続では、変化の激しい現代において、労務管理の現場の変化も激しい現代においては、なかなか就業規則を有効活用できません。
しかし、だとすると、就業規則を変更するタイミングとはいつくらいがベストなのでしょうか。
0.1. 就業規則を変更する主なタイミング
実際に就業規則を変更する場合で多いのが以下の4つです。
法改正
大きな法改正があったときに、現在の就業規則を変更するというもの。
ただ、昨年末に始まったストレスチェックや、今年から始まったマイナンバーなど、就業規則に影響のある法改正は多岐にわたるため、「法改正に合わせて」とは言いつつも、タイミングを逃してしまう事業所は少なくありません。
助成金
雇用保険の助成金を支給を受ける際、必ずと言っていいほど添付書類として要求されるのが就業規則です。
そのため、助成金がきちんともらえるように就業規則を整える、というのは割とふつうのコトです。
別に、それは悪いことでも何でもなく、例えば、先日紹介した「勤務時間インターバル制度」のようなことを新しく始めて、それと合わせて助成金をもらう、となると、就業規則の変更は助成金の有無にかかわらず必須だからです。
なので、実は会社で使っている就業規則がそのまま添付書類として使える、というのはよっぽどマメに規則変更していても難しいわけです。
助成金以外にも、許可申請等で就業規則が必要になることがあります。
労働者と揉めた
あまり穏やかなことではありませんが、労働者と使用者の間で争いがあった際に、今後このようなことがないように、ということで変更する場合があります。
ちなみに、争いの真っ最中に変更しても、その争いへの効力はありません。
これは、よど号ハイジャック事件の犯人がハイジャック防止法で裁くことができないのと同じ、という例えしか思い浮かばなかったけど、わたしは全然、世代ではありません。
就業規則は争いを解決するためのものではなく、争いになるのを予防したり、争いになる前に争いになった時の状況を有利にしておくためのものなのです。
調査に入られた
こちらも穏やかではありませんが、労働基準監督官の調査に入られた結果、就業規則を調べられて、不備が見つかり、変更する運びとなることがあります。
労働基準監督官が直接変えてくれるわけではないので、会社かもしくは社労士が変更する必要があります。
0.2. 法改正が行われる時期
以上の4つが就業規則を変更する主なタイミングです。
上2つはともかく、下2つにならないよう、適切なタイミングで適切な内容の変更をしておきたいものですが、では、ベストなタイミングとはいつなのか、という冒頭の問いに戻ります。
まず、覚えておきたいのは、法改正の時期。
法改正は基本的に1月、4月、10月の頭に行われます。また、助成金についても、毎年4月に内容の更新が行われます。
なので、これらの月の前後が有力なタイミングとなるでしょう。
特に、4月の前にある2月や、10月の前にある8月は、比較的どこの業界も閑散期なことが多い上、社労士業界も同様に閑散期なので、この辺りの時期に変更の相談を持って行くと話がうまくまとまりやすいのではないでしょうか。
0.3. 本当に本当のベストなタイミングとは
と、結論めいたことを書いては見たものの、ぶっちゃけ本当にベストなのは、時期とか考えずに、事業所の状況と法改正の状況に応じて逐一変更していくことです。
2月や8月に就業規則を変更しても、それが会社に合ってなかったら意味がないわけです。
なので、2月や8月などは就業規則を見直すにはいいタイミングですが、実際に変更を行い、就業規則とともに会社を良くしていくのであれば、ある程度のスパンを見て、逐一変更していくのがいいと思います。
就業規則変更で報酬が発生するのは、就業規則の変更が済んだ時点で、という場合が多いしその方が安く済むことがほとんど。
しかし、就業規則とともに会社を良くしていくのであれば、そういった契約よりも、ちょっと値段は張るにせよ、1年とか3年とか、ある程度の期間、就業規則を何度でも変えられる、という契約のほうが良いかと思います。
名古屋の社労士事務所、川嶋事務所ではどちらの場合にも対応させていただいています。