雇用保険制度

テーマは基本手当をもらう条件、「雇用保険加入期間が鍵(働く人を守る労働保険第5回:中日新聞連載)」

2016年5月5日

 

今回からは基本手当、いわゆる失業保険の話をしていきます。基本手当は原則「離職した日以前の二年間」に「通算で十二カ月以上」、雇用保険に加入していればもらえます。今の勤め先で二年以上働いている人なら、ほとんどもらえるはずです。

ただいくつか注意が必要です。「通算で十二カ月以上」の一カ月として認められるには、一カ月の労働日数(有給休暇を取得した日なども含む)が十一日以上ないといけません。一カ月の労働日数が十一日未満でも雇用保険に加入できますが、そういう月があまりに多いと基本手当はもらえないわけです。

もうひとつは、この場合の一カ月とは暦上の一カ月ではないこと。例えば五月五日に仕事をやめた人は四月六日から計算します。つまり四月六日から五月五日までに十一日以上働いていることが必要です。

「通算で十二カ月以上」という期間は異なる会社で加入していた分を通算できます。例えば「離職した日以前の二年間」に、A社で四カ月、その後に就職したB社で八カ月、加入していたという場合も大丈夫です。

ただし、A者を退社した後にそれ以前の会社と通算して基本手当を受けている場合はもらえません。A社だけで十二カ月以上の加入期間がある場合も通算できません。

「離職した日以前の二年間」に、怪我や病気、出産などで長期間休み、通算で十二カ月未満の人もご安心を。けがなどをする前にさかのぼり「離職した日以前の二年間」に、休職したのと同じ期間を最大で二年まで加えることができます。つまり、最大四年間に通算十二カ月以上の加入期間があれば給付されます。

中日新聞H28.5.5付「働く人を守る労働保険」より転載

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士(登録番号 第23130006号)。社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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