昨日の記事に絡めて、
雇用保険の離職理由の話。
会社都合の解雇や退職勧奨を行うと、助成金がもらえなくなるという話を前回しました。
では、主に助成金を支給する労働局は、会社がそうした解雇や退職勧奨を行ったかどうかをどのように判断するかというと、それはハローワークに提出される書類です。ハローワークは労働局の下部機関なので、情報はツーツーなのですよ。
労働者が退職すると会社は、ハローワークに対して、
- 雇用保険被保険者資格喪失届
- 雇用保険被保険者離職証明書
を提出しないといけません。これらの書類には離職理由を記載する必要があるので、その部分を見れば会社都合による解雇や退職勧奨があったかどうかわかるわけです。
1. 離職理由を偽ることは困難
ただ。雇用保険被保険者資格喪失届も雇用保険被保険者離職証明書も、基本的には会社が作成して提出するものなので、離職理由の部分を偽って提出すれば、助成金がもらえなくなることはないんじゃないのか、とか思った方は甘い。
つーか、わたしは、このブログを読む人に、そんなこと思う人がいないことを願っていますが(笑)。
なぜなら、会社を辞めた労働者は、上記の提出書類のうちの雇用保険被保険者離職証明書の控えを持って、ハローワークに行くので、この離職証明書に「解雇」されたのに、離職理由が「自己都合退職」と書かれていれば、誰だっておかしいと思います。
それでなくても、失業者が失業手当の手続きをする際は、ハローワークの職員の方が離職理由が本当に正しいかどうか、失業者本人に確認するので、そこでバレる可能性が高い。
いくら労働者と口裏を合わせたとしても、自己都合退職よりも、会社都合解雇のほうが失業手当をすぐにもらえるし、もらえる期間も長いのだから、正直あってないようなもの。だいたい、会社都合解雇で辞めさせられた労働者が口裏合わせてくれると期待するほうがおかしい。
2. 国からお金をもらうなら法令遵守
前回の記事でも触れたとおり、今後は育児・介護休業法の違反や男女雇用機会均等法の違反についても、厳しくなります。
おそらく、ハローワークの職員の方も「マタハラがあったりとかしませんでした?」みたいなことを聞くようになるでしょう。
なので、基本的に離職理由はごまかせられないし、うちの事務所でも雇用保険の離職手続きはやっていますが、上記の事情がわかっているので、当然、虚偽の離職理由を書くこともありません。というか、職業倫理上、ハローワークの体制がガバガバのユルユルでもやんないけど。
まあ、シンプルな話が、国からお金もらうならきちんと法律を守りましょう、ということです。