年次有給休暇

労働者の中途半端な労働法知識に会社はどう対応すべきか

2016年3月18日

わたし、iPhoneに本家のGunosyは入れてないけど姉妹品のGunosyLITEは入れてます。本家のGunosyはSmartNewsがあれば事足りるなあ、と思ってやめたんです。

ただ、GunosyLITEは閲覧履歴等からわたしの嗜好にあったニュースをピックアップしてくれる、という名目なのですが、なんでこのニュース拾ってきた?(笑) みたいな記事がたまにあるのが面白くて使ってます。

で、このあいだGunosyLITEが拾ってきたニュース、というかブログ記事がこちら。

「有給の上限は40日です。それ以上は消えます」←は?

わたしの嗜好とかすっているような、かすってないような…。まあ、ちょっと前までは労働問題系の記事を全く拾ってきてくれなかったので、進歩しているのは間違いないですけど。

 

1. 専門家から言わせればレベルは低い、だが…。

で、上記の記事なのですが、内容的には、自分を社畜と称するブログの管理人が、「有給の上限が40日なのはおかしい」とか「有給とらせないなら買い取れ」みたいなことをずっと書いているだけの、愚痴と文句しかない中身スカスカの記事なので、あまり読む価値ないっす。

そもそも有給の上限は40日じゃないし(制度上、40日が上限になる人がいるだけで、誰もが40日というわけではない)、有給の買い取りは退職時以外、労働基準法で禁止されているし。そもそも、経済学的な観点から言うと、有給の買い取りを行うと通常時の賃金が下がる恐れすらある。

年次有給休暇の買い取りがナンセンスな理由

専門家から言わせれば、はっきり言って、何も知らないくせに、わがまま放題騒いでるだけ、レベルが低いと言わざるをえない。うちの事務所サイトのQ&A見てから出なおせって話。

にもかかわらず、どうしてわたしが今回、この記事を取り上げたかといえば、別に批判したいからではなく、世の中の多くの労働者の、労働法に関する知識レベルはだいたいこの程度なのではないか、と思ったからです。

 

2. 会社が解ける誤解は会社が解いておいたほうがいい

会社の経営者の中には、就業規則の内容を労働者に知られたくないと考える人も少なくありません。

就業規則の基本的な部分は労働基準法に基づいているため、労働者に有利なことがたくさん書かれています。そして、そうした労働者にとって有利なことをいろいろと知られると経営コストが高まるため、見せたくないわけですね。

しかし、その一方で、労働者が労働法についてきちんとした知識がないと、上記のブログの管理人みたいに中途半端にどこで仕入れたかわからないような知識で、会社に不満を持ったり、愚痴や文句をネットで吐き出す人間が現れるわけです。

ネットの普及により、会社が隠しておけることは少なくっています。そうした中で、会社が解くことのできる勘違いを放置しておくことは思わぬ痛手を被ることも考えられます。

例えば、今回の件の場合、ブログの管理人に思い切って自分の働いている会社名を実名で上げていたら、と思うと勘違いしている人間に勘違いしている人間が便乗してちょっとした炎上になってもおかしくなかったわけですからね。

 

これはあくまでわたしの経験則ですが、わたしは業務として、従業員の皆さんに就業規則の内容を周知するための説明会をさせていただくことがあります。そして、そうしたことを行う会社ほど、やはり労使間で問題が起きにくいと感じています。なので、できれば、就業規則や労働法に関する知識の向上は会社が積極的に行ったほうがいいと思います。

本音を言えば、このような知識の習得は会社ではなく教育の役割だとは思うんですけどね。

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就業規則の周知のお仕事は、従業員の皆さんから思わぬ質問による気付きがあって、逆に教わることも多いです。(こんなにキリッとした顔で説明はしないけど)

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士(登録番号 第23130006号)。社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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