就業規則

会社に必要なのは「行列ができる法律相談所」ではなく就業規則だ

2016年3月7日

わたしは番組自体は見ていないのですが、「行列ができる法律相談所」で、人事労務の問題が取り上げられたそうですね。

僕を叱るとパワハラで人事に言いつけますよという社員について

相談内容は上の記事を見てください。非常に簡潔にまとまっております。

で、上の記事を書かれた永江さんの意見も最もなのですが、ただ、それでも個人的に読んでて違和感があったのは、人事とか総務って案外、というかかなりの部分で会社側の部署じゃね、ということ。

うちの事務所のお客さんの場合、人事や総務があるところ自体かなり限られるのであれですが、そういった部署がある場合で、なにかしら会社内で問題があったりすると、たいてい人事や総務の方からうちに電話がかかってきます。

 

0.1. 人事や総務は基本会社側

社労士法上は労使間の問題について中立な立場で取り組むことを定められている社労士ですが、現実には会社側に立って労務問題を考えることが多いのもまた事実。そんな社労士が顧問としている会社では、人事や総務と社労士は結構ツーカーなわけです。

なので、番組内に出てきた問題社員が人事部に、パワハラの証拠となるであろうレコーダーを人事や総務に持っていったからといって、100%人事や総務が味方になってくれるかというと、それは怪しいわけ。

だいたい、問題社員の噂なんて人事や総務があらかじめ知らないはずもない。

ただ、だからといって、会社はこうしたレコーダーに注意を払わなくていいというわけでもないし、労働者がこういうことをすることが無駄というわけでもない。

会社の問題というのは、それが会社内で収まっているあいだは会社が圧倒的に有利ですが、それが一度、外部に出ると、途端に労働者側が有利となるわけです。レコーダーのデータは、会社内のものを会社の外に持ち出せるものでもあるわけです。

 

0.2. 法で判断できないなら就業規則

さて、レコーダーによる録音が違法か否かは、番組内でも意見が分かれたようですが、それはあくまで法律という大きすぎる枠での話。

法律で定めのない、しかし、会社という組織で対応しないといけない問題のために就業規則はあるわけですから、就業規則でしかるべき規則を定め、きちんと禁止して、こうした問題社員の問題行動を抑制すればいいのです。

こんなこと、合法か違法かなんて、会社が考えることではありません。

裁判力 行列のできる法律相談所 裁判力 (日テレbooks)

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士(登録番号 第23130006号)。社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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