安全衛生

従業員が10人以上になると(安全)衛生推進者の専任が必要です

2016年3月2日

労働安全衛生法とは、もともと労働基準法にあった安全・衛生の規定を分離独立したものです。

労働者の安全と衛生、つまり、健康のために守るべきことが記載された法律で、比較的地味・マイナーな法律と言えますが、最近では、長時間労働による過労死の問題もあり、こちらの法律に注目が集まっています。

注目が集まっている、というのは、過労死防止のために監督署が取り締まりを強化しているという意味でもあります。

 

1. 労働者10人以上は衛生推進者

労働者安全衛生法では、比較的規模の大きい事業場に対して、安全管理者や衛生管理者、産業医といった、職場における労働者の安全と衛生を保持・増進するための人間を選任を義務づけています。

では、小規模の事業場の場合はどうかと言うと、従業員の数が10人以上50人未満の事業場については衛生推進者を選任するよう、法律で義務づけています(建設業や運送業などの一部業種は、衛生推進者ではなく安全衛生推進者を選任が義務)。

ただ、労働者の数が10人に達したばかりの企業の場合、就業規則の提出などと同じように、この選任が漏れている場合が多いわけです。これだと、監督署がやってくると確実に指摘されます。

ちなみに、事業場単位で10人以上なので、例えば事業場を2つ持つ会社の場合は、両者の合計で10人以上、という場合は選任の必要はありません。

 

2. 衛生推進者の条件

衛生推進者は誰でもいいわけではありません。以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。

  1. 大学又は高等専門学校卒業後に1年以上安全衛生の実務に従事している者
  2. 高等学校又は中等教育学校卒業後に3年以上安全衛生の実務に従事している者
  3. 5年以上安全衛生の実務に従事している者
  4. 都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を修了した者(安全衛生推進者養成講習・衛生推進者養成講習)
  5. 安全管理者及び衛生管理者・労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタントの資格を有する者

労働者の数が10人に達したばかりの会社に、安全衛生の実務に従事している者、というのもなかなかいないと思うので、1、2、3は簡単なように見えて、実は現実的ではありません。5も元の数がかなり少ない。

よって、小規模の事業場で衛生推進者を選任する場合、4の講習を受けることが現実的な選択肢となるでしょう。

 

講習を行っている機関については、愛知の場合は労働局のサイトで確認することができます。

安全衛生推進者養成講習(愛知労働局)

時期によっては、どこの機関でもこの講習を行っていない場合があるので、法違反とならないよう、従業員の数が10人を超えそうな場合は、なるべく早く、選任予定者にこちらの講習を受けてもらうと良いと思います。

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労働者10人未満でももちろんコンプライアンスは大事ですけど、衛生推進者の選任の他にも、就業規則を提出義務しないといけないという意味で

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士(登録番号 第23130006号)。社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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