労務管理

労働基準監督署に提出すべき労使協定、必要のない労使協定とは

2016年1月25日

労使協定のイメージ

年が明けると、すぐに来るのが年度末です。

時間外・休日労働の36協定や1年単位の変形労働時間制の起算日を、年度単位で行っている事業所も多いかと思いますので、そろそろそちらの準備もしておく必要があります。

その際に結ぶ必要のあるのが労使協定です。

労使協定とは、使用者と労働者のあいだで締結される書面による協定を言います。

ここでいう労働者とは、「労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合」、「労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者」となります。また、管理監督者は労働者代表になることはできません。

で、この労使協定なのですが、前述した、36協定や1年単位の変形労働時間制のイメージが強いせいか、必ず労働基準監督署に届け出ないといけないものと思われている方も少なくないようですが、実際には提出する方が例外的で、ほとんどは提出義務がありません。

以下、労働基準監督署に提出義務のある労使協定。

労働基準監督署に提出しないといけない労使協定

  1. 会社が労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合
  2. 1ヶ月単位の変形労働時間制(就業規則に定める場合は不要)
  3. 1年単位の変形労働時間制
  4. 1週間単位の非定型的変形労働時間制
  5. 時間外・休日労働(いわゆる36協定)
  6. 事業場外労働のみなし労働時間制(みなし時間が法定労働時間を超える場合)
  7. 専門業務型裁量労働制

 

1については、今どきこんなことやっている会社はなかなかないので、ほぼ死文みたいな法律なので気にする必要なし。

よって、労使協定について監督署に提出するものというのは、変形労働時間制に関する協定(2、3、4)と、36協定(5)、裁量労働に関する協定(6、7)の3種類しかないわけです。

ただ、変形労働時間制の一種とされるフレックスタイム制は、労使協定を結ぶ必要はあるものの提出は不要ですし、裁量労働の一種である企画業務型裁量労働制については、労使協定ではなく、労使委員会の決議が必要という点に注意が必要です。

 

上記以外の労使協定、例えば、有給の計画付与や育児・介護休業に関する労使協定などは、結ぶ必要はあるけれども、労働基準監督署に提出する必要はありません。

必要のない書類の提出は手間であり、時間の無駄となるので、人事・労務担当者の方はきちんと押さえておきましょう。

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士(登録番号 第23130006号)。社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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