年次有給休暇

Q有給の算定基準日が社員によってバラバラで計算が面倒です。どうにかなりませんか

2015年10月15日

1. A 有給の算定基準日をあらかじめ定めておくと良いです

有給の算定に必要となる継続勤務日数および出勤率は通常、労働者の雇入れ日から算定します。

しかし、中途採用が多い会社などの場合、労働者の入社日がバラバラとなり、会社が労働者の有給を把握し管理するのが大変になります。

その解決方法として、有給の算定基準日をあらかじめ就業規則等で定めておくという方法があります。

 

1.1. 算定基準日を導入する場合の具体例

例えば、

「4月1日から9月30日までの期間に入社したものについては4月1日を、10月1日からよく年3月31日までに入社したものは10月1日を、有給の継続勤務日数および出勤率の算定上の雇入れ日とみなす」

と定めておけば、4月1日から9月30日までの期間に入社したものは4月に入社したものも9月に入社したものも、有給の算定上の雇入れ日は4月1日となり、有給付与日はその6ヶ月後の10月1日となります。その後も毎年10月1日が有給付与日となります。同様に、10月1日から翌年3月31日の期間の場合、4月1日が有給付与日となります。

上記のような定めをする場合、注意しないといけないのは、有給算定の基準日を定める場合、その基準日から入社日までの期間は出勤したものとみなさないといけないことです。例えば、9月10日に入社した社員の場合、4月1日から9月9日までの期間の全労働日はすべて出勤したものとみなされます。

そのため、上記の例の場合、9月や3月に入社した社員は、よっぽど欠勤がない限り、1ヶ月足らずの勤務で有給を取得することができてしまいます。なので、これを他の社員と比較して不公平と考える場合、手間は少し増えますが、上記のような6ヶ月区切りではなく3ヶ月区切りや1ヶ月区切りにすることも考えたほうが良いでしょう。

 

1.2. ダブルトラックに注意

2019年4月より、年5日の有給取得が義務化されたことにより、入社日ベースを算定基準日に変えたり、算定基準日の別の日に変えたりするとダブルトラックという問題が発生するようになっています。

これは、もともとの基準日から1年以内と、変更後の基準日から1年以内という、2つの期間で年5日の有給取得義務を果たさないといけないという問題で、具体的な例や解決策については以下の記事に詳しく改定あるのでそちらをご確認いただければと思います。

年5日の年次有給休暇の取得義務で注意したい基準日とダブルトラック

 

有給休暇についてのQ&A

Error: View 6340528j56 may not exist
川嶋事務所へのお問い合わせはこちらから!

良かったらシェアお願いします!

  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士(登録番号 第23130006号)。社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

-年次有給休暇