その他法改正

4月の施行目前!改正育児介護休業法(介護に関する内容)をチェック

2025年3月18日

令和6年の通常国会で大規模な改正が行われた育児介護休業法。

前回のブログでは、このうち令和7年4月1日施行で、かつ育児関連することについて、解説を行いましたが、今回は介護に関するものについてみていきます。

 

1. 介護に関する改正の内容の概要

1.1. 介護休暇の見直し

今回の改正で、介護休暇において、労使協定の締結により適用対象外とすることのできた「継続して雇用された期間が6か月未満の労働者」という要件が廃止されます。一方で「1週間の所定労働日数が2日以下の従業員」について変更ありません。

こちらは子の看護休暇と足並みを揃える改正で、対応として労使協定の再締結、就業規則(育児介護休業規程)の改正を行う必要があります。

 

1.2. 介護両立支援制度等の個別周知・意向確認の義務付け

今回の法改正にて、労働者が家族の介護に直面した旨を申し出た時、介護と仕事の両立支援制度等について個別の周知・意向確認を行うことが事業主に義務付けられました。

こちらは育児休業制度の個別周知・意向確認の仕組みを参考にした制度であり、内容も、基本的には育児休業のものを踏襲しています。

対象者 家族の介護の申し出をした労働者
周知事項 ① 次に掲げる制度及び措置

  1. 介護休業に関する制度
  2. 介護休暇に関する制度
  3. 所定外労働の制限に関する制度
  4. 時間外労働の制限に関する制度
  5. 深夜業の制限に関する制度
  6. 介護のための所定労働時間の短縮等の措置

② 介護休業申出及び介護両立支援制度等の申出の申出先

③ 介護休業給付金に関すること

個別周知・意向確認の方法 ①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか

注:③④は労働者が希望した場合のみ

なお、個別周知及び意向確認を行うにあたって、介護に関する両立支援制度等の利用を控えさせるような形で行うことは、今回の法令の改正と合わせて改正が行われた指針(子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針)にて、認められない旨が明記されているので注意が必要です。

 

1.3.  介護両立支援制度等の早期の情報提供の義務付け

労働者が、いつ身内の介護に直面しても大丈夫なよう、今回の改正で「介護両立支援制度等の早期の情報提供」が会社に義務付けられました。

ここでいう「早期」とは以下のいずれかとなります。

40歳に達した日の属する年度の初日から末日

40歳に達した日の翌日から起算して1年間

また、必要となる「情報提供」の内容や周知の方法は「介護両立支援制度等の個別周知・意向確認の義務付け」と同じものとなります。

ただし、本制度の対象者が40歳という年齢を区切りにしていることから、同じく40歳に達したときから適用が始まる「介護保険制度」についても「併せて周知することが望ましい」ことが指針で示されているため、できればこちらについても周知を行いたいところです。

 

1.4. 仕事と介護の両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備

今回の法改正にて、仕事と介護の両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備を行うことが義務化されます。

こちらは「介護両立支援制度等の個別周知・意向確認の義務付け」と同様に、育児ではすでに先行して義務化されているものであり、その内容も育児のものが踏襲されています。

雇用環境整備のための事項 以下のうちいずれかを実施(複数の実施が望ましい)

  1. 介護に関する両立支援制度に係る研修の実施
  2. 介護に関する両立支援制度に関する相談体制の整備
  3. 介護に関する両立支援制度の利用事例の収集・提供
  4. 介護に関する両立支援制度及び両立支援制度の利用促進に関する方針の周知

 

1.5. 介護のためのテレワーク導入の努力義務化

今回の法改正では、要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう事業主に努力義務が課せられました。

育児と同様、努力義務であるため、テレワークが困難な業種やテレワークを実施する余裕のない会社については必ずしも対応の必要はありません。一方で、介護を行う労働者をテレワークの対象とする場合、テレワークの運用方法の変更で対応するか、就業規則の規定変更が必要となります。

 

2. 職業安定法関連

2.1. 育児介護休業法に違反した場合の求人不受理

職業安定法では、職業紹介事業者等に対し、求人の全件受理の義務を課していますが、法令違反等をしている事業者の求人に関しては、例外的に不受理とすることが可能です。

今回、省令改正により、この不受理とする要件に、「家族の介護の必要性を申し出たことを理由とした不利益取扱い」をした事業者で、是正を求める勧告に従わずに公表された場合が追加されました。

上記の育児介護休業法の介護関連の改正と併せて押さえておきましょう。

 

3. まとめ

今回の介護関連の改正は、全体的に、育児ですでに制度としてあるものを介護に適用した、という内容が多くなっています。

なので、対応の際は育児ですでに実施しているものと足並みを揃えると、手間が少なくてよいのかなと思います。

施行日が近いということもあり、厚生労働省でも各種規定例や様式をすでに公開しているので、こちらも参考にしてただければと思います。

育児・介護休業等に関する規則の規定例(出典:厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000103533.html

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士(登録番号 第23130006号)。社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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