いよいよ明日(10月20日)社会保険労務士川嶋事務所の所長、川嶋英明の新刊「就業規則作成・書換のテクニック」が発売となります。
本書のはしがきでは、筆者であるわたしが本書にどういった意図や想いを込めたかを端的にまとめています。
そのため、本書購入の検討材料になるかと思い、以下に「就業規則作成・書換のテクニック」のはしがきの全文を転載させていただきました。
購入の際に参考にしていただければ幸いです。
厚生労働省が出しているモデル就業規則をはじめ、世に出ている様々な就業規則の規程例は、そのまま活用するのではなく、それぞれの会社の事情に合わせて変更することを前提に最大公約数的に作られています。
ただ、規程例を作成した側はある程度の変更を前提にしていたとしても、それを変更する側には、労務関連の法律について十分な知識がなく、なかなかそれが難しいという事情があります。規程例を作成する側も、これを考慮し、変更する際のヒントとなるよう様々な解説を入れるなど、様々な工夫をしていますが、それでも、そもそも労務関連の法律が複雑ということもあり、これらがなかなかうまく機能していないのが現状です。
そこで本書では、一つひとつの条文の規定例の種類をバリエーション豊かに掲載するという方針を取りました。ある程度知識のある人からすると、さすがにこのパターンはわざわざ規定例に挙げなくてもわかるだろうと思うものもあると思います。ただ、そうしたパターンまで網羅することで、就業規則を変更するということへの抵抗を取り払い、より具体的に就業規則を変更することのイメージを掴めるのではと考えたからです。
また、基準となる就業規則の条文数を最低限となるよう抑える一方、それぞれの会社の事情に合わせられるよう、条文を追加できるようにもしました。正直な話をすると、追加条文の中には最初から就業規則に入れておいても問題がないものも含まれています。ただ、条文を削除するかどうかについては、かなり高度な知識が必要となりますし、人間の心理的にも増やすのは簡単でも減らすのは抵抗があり、これが結果的に就業規則を変更することへの心理的な抵抗になり得ると考え、このような方針を取っています。
さて、本の活用の仕方は購入された方の自由、というのは大前提で、これは筆者のわがままであることを承知でいうと、本書を活用するに当たっては、自分の会社の労務管理の実態はどうなっているか、というの常に意識していただきたいと思っています。
就業規則を作成するとなると、労使間で争いになったときのことやリスク回避ということが真っ先に浮かぶ人もいるかもしれません。しかし、そのあたりのことはひとまず脇に置き、会社の現状と向き合いながら一つひとつ規定を吟味していただきたいのです。そうすることで、今の会社の労務に関する現状や課題がはっきりし、結果的にその会社の実態に合った就業規則が作成できると考えるからです。
最後に、筆者の個人的なこととなりますが、本書を執筆中も社会保険労務士川嶋事務所を支えてくれた事務員の方々、弊所のパートナー会社である株式会社給与計算本部事務所の方々、そして、本書の担当をしていただいた日本法令の吉岡さんに対して、この場を借りて、感謝したいと思います。
また、本書は、みらい総合法律事務所が執筆してきた「応用自在!○○作成のテクニック」の流れを汲む本として作成された経緯があり、フォーマットについても多くの部分を参考にさせていただきました。素晴らしいフォーマットがすでに存在することは、時に困難を極めることのある執筆作業において、非常に助けとなるものでした。みらい総合法律事務所及び、過去に「応用自在!○○作成のテクニック」に関わられた方々にも、ここで感謝したいと思います。