今年も4月から施行される改正法がいくつかありますが、対応はお済みでしょうか。済んでない場合は、遅れてもいいので早めに済ませましょう。
さて、そもそも、こうした改正法がどのように作成されているのか、ということをみなさんは考えたことはあるでしょうか?
国会議員とか官僚とかの偉い人が決めている、という程度の認識でも(法律さえ守っていれば)問題はありませんが、どのように決まっているかがわかっていると、早めにその動きを察知できたり、対応自体が楽だったりもします。
ということで、今回は法改正と関連が深い労働政策審議会について解説しています。
この記事の目次
1. 労働法の改正案はどこから来るの?
労働に関する政策というのは、厚生労働省の中の労働政策審議会というところでその大本の方針が作成されます。
そして、その方針に基づき、法改正案や省令改正案、指針等が作成されます。
なので、労働政策審議会の一挙手一投足に注目していれば、将来の政府の労働政策を予想したり、法改正前に、法改正の内容をある程度把握することができます。
2. 労働政策審議会とは
2.1. 労働政策審議会の仕事
この労働政策審議会について、もう少し詳しく見ていきましょう。
労働政策審議会の仕事は主に、以下の2つとなります。
- 厚生労働大臣等の諮問に応じて、労働政策に関する重要事項の調査審議を行う
- 労働政策審議会は、労働政策に関する重要事項について、厚生労働大臣等に意見を述べることができる
1.は厚生労働大臣等が主体となって何かをするときの相談役のような役回りと言えます。
一方の2.は、逆に審議会が主体となって厚生労働大臣等に働きかけをするということですね。
2.2. 労働政策審議会の構成
労働政策審議会は厚生労働大臣が任命する30名の委員で組織されます。
この30名の振り分けは「公益代表委員」が10名、「労働者代表委員」が10名、「使用者代表委員」が10名となっていて、労働者側にも使用者側にも偏りがない形での構成となっています。
このような構成となっているのは、 国際労働機関(ILO)の諸条約によって規定されている「公労使三者構成の原則」を守っているためです。
3. 分科会・部会
3.1. 分科会及び部会
さて、一口に「労働政策」といっても、その分野は多岐にわたります。
労働時間や有給など、労働者の「労働条件」に関わるものや、労働者の健康や安全に関わるもの、最低賃金や雇用保険などなど。
こうした細かい分野に対応するため、労働政策審議会の下には7の「分科会」、また分科会の下には16の「部会」が設置されています。
以下は、労働政策審議会全体の組織図となります。
3.2. 委員会
分科会及び部会の他に、「専門委員会」などが置かれる場合もあります。
こちらは分科会や部会でも対応できないようなさらに細かい専門分野への対応を主目的に置かれるものとなります。
ちなみに、分科会や部会が「法令に基づく行政組織」である一方、専門委員会については設置に際し、そうした法的な根拠はありません。
4. 審議会・分科会・部会の議論内容
4.1. 議論内容は原則ネットで公開
審議会・分科会・部会の議論内容は基本的に厚生労働省のHPにて公開されています。
ただ、議事録の公開は、会の開催後、しばらく経ってからしか公開されません(文字起こしの時間がかかるためでしょう)。
4.2. 資料は開催後すぐに確認可能
一方で、審議会で使用された資料は会の開催後、すぐに見られます。
どんな会議もだいたいそうですが、だいたいの会議の内容は資料を見ればわかります。
労働政策審議会のものも例外ではなく、これらの資料を見れば今後のだいたいの政策の方向性や、法改正・省令改正の内容がわかるわけです。
なので、時代を先取りしたい方は、こちらをじっくり読んでみるのも良いでしょう。
まあ、普通の人は、法改正後に厚生労働省が発行するリーフレットやパンフレットで十分だとは思いますが。
今日のあとがき
思いがけず、ブログの更新が滞ってしまいました。
過去の名著を読むモードに入っていて、情報のインプットばかりして、情報のアウトプット筋が衰えてしまっていたせいかもしれませんね。
ちなみに、昨日読んだ過去の名著はこちら。
先週は前作となるこちらも読みましたが、
やはり、名著の原典に当たると「ああ、あれはここから来てたんだ」みたいな気づきや発見、あるいは新たな疑問などが生まれて、とても良いものだなと思いますね。