その他法改正

2022年度(令和4年度)法改正で就業規則の変更が必要な規定一覧

2022年2月7日

昨年度は就業規則の変更が必要となるほどの法改正はほとんどありませんでした。

その反動か、2022年度(令和4年度)は就業規則の変更が必要となる法改正がいくつかあるので今回はそれをまとめておきたいと思います。

ちなみに改正法の施行スケジュールについてはこちらのページにまとめてあるので、よければそちらもご覧ください。

 

1. 育児介護休業法の改正

令和3年に大きな改正があった育児介護休業法ですが、その多くは令和4年からの施行となります。

4月から施行のものと、10月からの施行のものがあるので、それぞれ見ていきましょう。

 

1.1. 令和4年4月施行

有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

これまでの育児介護休業法では、有期雇用労働者の育児・介護休業の取得について「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」であることという要件がありましたが、今回の改正法施行により、こうした要件は廃止されます。

ただし、労使協定を締結した場合には、事業主に引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することが可能です。

これは無期雇用労働者に関する扱いと同じなので、有期と無期で扱いが統一されたと考えるとわかりやすいかもしれません。

その他、令和4年4月施行の法改正には「事業主に対する育児休業を取得しやすい雇用環境整備等の義務づけ」というものがありますが、こちらは必ずしも就業規則に規定する必要はないものとなっています。

 

1.2. 令和4年10月施行

出生時育児休業

令和3年の育児介護休業法改正の目玉で、世間では「男性版産休」と呼ばれているものです。

この出生時育児休業では「出産日の翌日から起算して8週間以内の期間」に「4週間の休業」を取ることができます。

また2回に分割して取得することも可能なほか、出生時育児休業中の就労も可能となっています。

また、出生時育児休業中は「出生時育児休業給付金」というものが雇用保険からでます。

出生時育児休業についてもっと詳しく知りたい、という方は過去記事を参照していただければと思います。

 

育児休業の分割取得

現行法では、いくつかの例外を除き、育児休業は1回しか取ることができませんが、改正法施行後は、子が1歳に到達するまでに育児休業を2回まで取得することができるようになります。

この際の雇用保険の育児休業給付金については、休業2回目までは支給されます(3回目以降は対象外)。

また、1歳から1歳6か月、それでも足りない場合は1歳6か月から2歳までの育休の延長についても、現行法では申出が1回ずつしかできないことになっていますが、改正後は特別な字慈雨がある場合、再申出が可能となります。

こちらも詳しくは過去記事をご覧いただければと思います。

 

1.3. 厚生労働省の改正法施行後に合わせた就業規則規定例

厚生労働省は、上記の改正法に合わせた就業規則の規定例をすでに公表しています。

育児介護休業規程の作成の際はこちらを参考にすると良いでしょう。

育児・介護休業等に関する規則の規定例(出典:厚生労働省)

 

2. 中小企業におけるパワハラ防止措置等の義務化

すでに大企業では令和2年6月に義務化されているパワハラ防止措置等義務化ですが、令和4年4月からはついに中小企業にもこれが適用されます。

事業主に義務化される防止措置等とは、具体的には以下の通りです。

  1. 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
  2. 相談(苦情を含む。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
  3. 職場におけるハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
  4. 1.から3.までの措置と併せて講ずべき措置

 

1.の「事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発」は「パワハラを行ってはならない旨の方針」と「パワハラを行った者への対処の方針」の2つに分けられます。

そして、前者の「パワハラを行ってはならない旨の方針」をより詳しく見ていくと以下のようになります。

  • 就業規則等にパワハラを行ってはならない旨を規定(パワハラ禁止規定の策定)
  • 社内報やパンフレット、会社ホームページでパワハラを行ってはならない旨を記載し広報する
  • パワハラを行ってはならないことを研修等を通じて管理監督者を含む労働者に周知徹底する

 

前置きが長くなりましたが、上記の理由から、就業規則にパワハラ禁止規定を定める必要があるわけです。

ちなみに、厚生労働省のモデル就業規則のパワーハラスメント禁止規定は以下の通りですが・・・、

(職場のパワーハラスメントの禁止)
第12条  職務上の地位や人間関係などの職場内の優越的な関係を背景とした、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、他の労働者の就業環境を害するようなことをしてはならない。

モデル就業規則(令和3年4月版)(出典:厚生労働省)

 

さすがにこれでは心許ないので、最低限、以下のような内容は追加で入れた方が良いでしょう。

  • パワハラの定義(パワハラのみでなく、職場や労働者の定義も記載するのがベター)
  • パワハラが懲戒事由である旨と懲戒規定
  • 相談窓口
  • 相談を行った者に対して不利益取扱いを行わない旨

 

こちらも過去記事があるので詳しくはそちらを。

 

3. まとめ

以上です。

なんか過去記事の宣伝みたいな記事になってしまいましたが、今回の記事はあくまで就業規則改正が必要な項目の確認なのでご容赦を。

育休関連の改正が4月と10月に分かれてるのが厄介ですが、こういうときにどうしたらいいか、みたいな記事を次あたりに出そうと思ってるので、よろしければそちらもご覧いただければと思います。

 

 

今日のあとがき

時間の隙間を見て、ポケモンアルセウスやってます。

ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドのような感じかなあ、と思ってたら、良くも悪くも割と別ゲー。

初代ポケモン以来、すっかりご無沙汰していたポケモンの世界ですが、かなり楽しめてます。

クリアしたら他のシリーズも、と思うくらい面白いですが、そんな時間あるかな・・・。

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士(登録番号 第23130006号)。社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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